テレビCMや看板、電車内、スマートフォンなどで繰り返し同じ広告が表示されると、その広告に興味を示しやすくなりませんか?
この行動心理は、ザイオンス効果とも呼ばれ、多くの企業が自社のマーケティングや広告・プロモーション施策に活用しています。
今回は、ザイオンス効果の基本的な概要をはじめ、メリットやマーケティングに活用するコツなどについてポイントを中心に紹介していきます。
ザイオンス効果とは?
ザイオンス効果とは、対象となるユーザーに対して何度も繰り返しアプローチすることで、信頼度や興味関心を高める行動心理のことを指します。
1968年に、アメリカの心理学者であるロバート・ザイオンスによって提唱され、単純接触効果とも呼ばれています。
ザイオンス氏は、特定の単語や写真を対象者に繰り返し見せ、その回数によって心情がどう変化するのか実験を行いました。
その結果、より多く提示された単語や写真の方が好印象を持つ傾向が分かりました。
また、存在しない単語や意味不明の写真であっても同様の結果につながり、複数回繰り返しアプローチすることが、認知という面で効果的といえます。
このザイオンス効果は、日々の人間関係の構築や恋愛などに用いられるケースが多くなりますが、マーケティングや広告・プロモーション施策に活かすことも可能です。
例えば、一定の期間に同じ広告が何度も表示されると、最初は興味を示さなかったとしても、徐々に興味関心が高まり、コンバージョンにもつながりやすくなります。
ザイオンス効果が注目される背景
近年では、ユーザーと接触する媒体は多岐に渡り、従来であればテレビをはじめマス広告の需要が高い傾向にありましたが、インターネットやスマートフォン、SNSなどの普及に伴い、どのようにアプローチしていくかが多種多様になっています。
マーケティングや広告・プロモーション施策を戦略的に行うと効果を高めることが期待できることから、ザイオンス効果が注目されるようになりました。
ザイオンス効果のメリット
続いて、ザイオンス効果のメリットについて紹介していきます。
① コンバージョンの獲得
ザイオンス効果を活用し、定期的にユーザーと接点を持つことは、認知度拡大はもとより獲得にもつながりやすくなります。
まずは自社の商品やサービスを知ってもらう必要がありますが、繰り返しアプローチするザイオンス効果を活用すれば、興味関心度をより高めることが期待できます。
例えば、リマーケティング広告は一度自社のページに訪れたユーザーに対する広告手法となりますが、これも行動心理的にはザイオンス効果を活用した広告・プロモーション施策といえます。
② リピーターやファン化の獲得
売上増加や利益拡大を図るためには、リピーターやファン化につなげることも重要です。
一度購入や申し込みにつながったユーザーは、ザイオンス効果を活用してアプローチすることで、リピーターやファン化につなげる効果も期待できます。
メールマガジンやSNSなどをもとに既存顧客にも定期的にアプローチできれば、アップセルやクロスセルも可能になります。
ザイオンス効果のデメリット
続いて、ザイオンス効果のデメリットについて紹介していきます。
① 繰り返しアプローチし過ぎることで嫌われる可能性もある
ザイオンス効果をもとに、繰り返しアプローチし過ぎると、かえってユーザーから嫌われる可能性もあります。
ユーザーの中には、何度も同じ広告が表示されることで「ウザい」「煩わしい」と感じることもあります。
一度信頼を失ってしまうと、別の商材やサービスでの訴求であっても興味を示してもらえません。
広告クリエイティブや商品のみならず、企業自体に不信感を持たれると、売上増加や利益拡大にも影響しかねないため、接触回数にはバランスを見つつ注意が必要です。
② 間隔が空きすぎると効果が弱まる
また、ザイオンス効果は間隔が空きすぎると効果が弱まる傾向にあります。
例えば、ユーザーと月に1回程度の接触であれば、ユーザー側も何のことか以前の内容を忘れてしまい、一からやり直しとなる可能性も高まります。
期間が空けば、その間にユーザーが収集する情報量も多くなります。
記憶が残っている内にアプローチするためには、間隔も意識した上で訴求することが重要です。
ザイオンス効果を自社のマーケティングに活用する効果的な方法
次に、ザイオンス効果を自社のマーケティングに活用する上で、効果的な方法について紹介していきます。ここでは代表的な手法について紹介していきます。
① Web広告
Web広告は様々な手法が用意されていますが、ザイオンス効果という点ではリマーケティング広告が効果的です。
リマーケティング広告は、様々な広告媒体で用意されており、自社サイトに訪れたユーザーに対してターゲティングを行い、関連する媒体で広告訴求することが可能です。
一度自社サイトに訪れたユーザーは、何かしら商品やサービスに興味があることが想定されます。
そのユーザーに対して繰り返しアプローチできるため、認知だけでなく申し込みなどの獲得に繋がりやすい傾向にあります。
なお、リマーケティング広告では広告を配信するタイミングや繰り返しの頻度などを調整することが可能であるため、ザイオンス効果によるリスクを抑え、効率よくアプローチすることができます。
② SNS
近年、FacebookやInstagramをはじめ、X(旧Twitter)、LINE、YouTube、TikTokなど様々なSNS媒体が存在します。
各SNS媒体によって仕様やターゲットが異なり、企業として専用のアカウントを用意し、マーケティングに活用するケースも増えています。
定期的に情報発信を行ったり、フォロワーとつながることでザイオンス効果を高めることができます。
③ メールマガジン
メールマガジンも、ザイオンス効果が期待できます。
そもそもメールマガジンの対象となるユーザーは、自社の内容に興味を示し、会員登録やメルマガ登録を行ったユーザーとなります。
配信頻度を高めたり、定期的にお得な情報を発信していくことで、リピーターやファン化に役立てます。
ユーザーの状況に応じてメルマガ内容を変えて訴求するステップメールも、ザイオンス効果を高める上で有効活用できます。
マーケティング施策においてザイオンス効果を高めるコツ
ザイオンス効果を自社のマーケティングにおいて効果的に活用していくためには、以下の要素を押さえておくと効果的です。
① 対象となる期間の明確化
ザイオンス効果は、期間が空きすぎると効果が弱まる傾向にあります。
あらかじめ対象となる期間を戦略立て明確化しておく必要があります。
ザイオンス効果は、短期間で如何にコンバージョンまで誘導できるかが重要です。
自社の目的や特性をふまえ繰り返しアプローチする期間を設定していくと効果的です。
② 10回が効果のピーク
ザイオンス効果によって繰り返しアプローチし過ぎると、ユーザーの不信感を高める要因となります。
一般的にザイオンス効果の最大値は10回までといわれ、10回を超えると不信感が高まる傾向にあります。
広告の訴求回数や同内容の投稿や配信などは、10回を基準にバランスを見ながら展開することが重要です。
まとめ
自社のマーケティング効果を高める上で、ザイオンス効果という心理・行動学を活用すると効果的です。
ザイオンス効果は、対象となるユーザーに繰り返しアプローチすることで、認知度拡大やコンバージョン獲得につながりやすくなる心理・行動のことを指します。
今回紹介した内容も参考に、ザイオンス効果を適切に自社のマーケティングや広告・プロモーション施策に活用していきましょう。