
サードパーティーCookieの規制強化などにより、
従来のリターゲティング手法に課題を感じている広告運用者の方も多いのではないでしょうか。
そんな中、Yahoo!ディスプレイ広告では2024年5月より
「広告アクションユーザー」という新しいオーディエンスリスト機能の提供を開始しました。
本記事では、
この新機能の基本概念から具体的な設定方法まで、実務で活用するために必要な情報を
詳しく解説します。
1. 広告アクションユーザーとは?
広告アクションユーザーは、
Yahoo!ディスプレイ広告(運用型)で2024年5月より提供開始された
新しいオーディエンスリストです。
広告アクションユーザーは、
指定した広告に対して、特定のアクション(クリック・コンバージョン・動画視聴のいずれか)
を行ったユーザーをオーディエンスリストに蓄積し、広告のターゲティングに活用できます。

特定のアクションを行ったユーザーをターゲティング
従来のリターゲティングがウェブサイト訪問者を対象とするのに対し、
広告アクションユーザーは「特定のアクションを行ったユーザー」を対象とする
点が大きな特徴です。
これにより、
広告に興味を示したユーザーを効率的に再アプローチできるようになります。
リターゲティングの補完が可能に
さらに注目すべきは、
サードパーティーデータの規制強化に対しての対策の一つになるという点です。
近年、
プライバシー保護の観点からサードパーティーCookieの制限が進んでおり、
従来のリターゲティング手法に影響が懸念される中、
広告アクションユーザーを利用するとリターゲティングの補完が可能になります。

リーチ拡大を目的としたターゲティングも可能
従来のリターゲティングでは捉えきれなかったユーザー層へのアプローチが可能になります。
例えば、
動画広告を視聴したもののサイト訪問に至らなかったユーザーや、
コンバージョンユーザーに類似するユーザーへ配信することでリーチ拡大が可です。

1-1. リターゲティングとの違い
広告アクションユーザーと従来のリターゲティングには、
主にデータ収集の仕組みと対象ユーザーの範囲において違いがあります。
データ収集の仕組みの違い
従来のリターゲティングは、
ウェブサイトに設置されたタグを通じてサイト訪問者の行動を追跡
(サードパーティークッキーを用いて識別)し、オーディエンスリストを作成します。

一方、広告アクションユーザーは、
Yahoo!の広告プラットフォーム内で作成した広告への
アクションデータを基にリストを構築するため、
リターゲティング欠損範囲を広告アクションユーザーで補完することが可能になります。
対象ユーザーの違い
リターゲティングの対象
→「ウェブサイトを訪問したユーザー」
広告アクションユーザーの対象は
→「広告に特定のアクションを行ったユーザー」
具体的には
広告クリックユーザー・コンバージョンユーザー・動画視聴ユーザー
への配信が可能です。
1-2. 広告アクションユーザーで収集できる3つのアクション種別
広告アクションユーザーでは、
以下の3つのアクション種別に基づいてオーディエンスリストを作成できます。
- 広告クリック
- コンバージョン
- 動画視聴
広告クリック
広告のクリックを行ったユーザーをリストに貯めることができます。
リターゲティングの補完として活用することが可能です。
コンバージョン
コンバージョンを行ったユーザーをリストに貯めることができます。
例えば、
複数回のコンバージョン(商品の購入など)を目的に再度アプローチしたり、
コンバージョンした商材(商品やサービスなど)に
類似する広告を配信したりすることが可能です。
動画視聴
動画広告の視聴を行ったユーザーをリストに貯めることができます。
例えば、
動画視聴で理解を深めたユーザーに再アプローチすることが可能です。
また、
以下の中から「動画再生率」を指定して設定します。
〈 動画再生率 〉
再生開始・25%以上再生・50%以上再生・75%以上再生、
95%以上再生・再生完了・3秒以上再生・10秒以上再生

2. 広告アクションユーザーの設定手順
広告アクションユーザーリストの作成は、
Yahoo!広告の管理画面から簡単に行うことができます。
以下、実際の設定画面に沿って手順を解説します。
ステップ1: オーディエンスリスト作成画面へのアクセス
① Yahoo!広告の管理画面にログイン
② 画面上部の「ツール」メニューをクリック
③ メニューから「オーディエンスリスト」を選択
ステップ2:広告アクションユーザーの選択
①「オーディエンスリストを作成」ボタンをクリック
② 表示されるプルダウンリストから「広告アクションユーザー」を選択
ステップ3:広告アクションユーザーのリストを作成
(1)オーディエンスリスト名
任意のオーディエンスリスト名を入力します。
※既に使われている名前は使用できません。
(2)広告アクション種別
どの広告アクションを行ったユーザーを対象にするか
(広告クリック、コンバージョン、動画視聴)を選択します。
※「コンバージョン」はクリック経由のコンバージョンと推定コンバージョンを指し、
レポート項目の 「コンバージョン数」に該当します。
ビュースルーコンバージョンは対象外です。
(3)広告アクションデータソース
ユーザーの蓄積を行うソース(キャンペーン、広告グループ、広告)を選択します。
指定した広告(キャンペーン・広告グループの指定時は配下の広告)に対して、
(2)で指定したアクションを行ったユーザーをリストに蓄積します。
※指定可能な上限数はそれぞれ50件までです。
※キャンペーン目的が「商品リスト訴求」の場合は、キャンペーン、広告グループ、広告の指定ができません。
(4)データの有効期間
リストに格納したデータの有効期間(日数)を1日〜90日の間で設定します。
(5)説明
任意でオーディエンスリストの説明を入力します。
※参考:LINEヤフー オーディエンスリストの作成 2025年6月閲覧
3. 広告アクションユーザー利用時の注意点
広告アクションユーザーを利用する際に注意するべき重要事項を2つ紹介します。
広告の審査
指定した広告アクションデータソース(キャンペーン、広告グループ、広告)配下の広告が、
広告データ利用基準を遵守しているか審査があります。
審査に通らなかった場合、審査否認のリストの利用ができなくなったり、
審査否認のリストを設定した広告グループが配信停止されたりなどの影響があります。
審査否認の場合は、メール通知や広告管理ツール上で表示があるため、
確認することが重要です。
対応として、
「広告アクションユーザーのリストの作り直し」
「広告グループに設定」
「配信を再開」
をする必要があります。
その際、
審査否認のリストや広告を除外しておくことが重要です。
ユーザーサイズ
作成した広告アクションユーザーのユーザーサイズが小さすぎる(1000件未満)場合、
そのリストは配信に利用することができません。
広告管理画面でリストのサイズを確認しておきましょう。
ただし、
ユーザーサイズの反映には時間がかかる場合があるため、随時確認する必要があります。
※参考:LINEヤフー オーディエンスリスト「広告アクションユーザー」提供開始 2024年4月
4. まとめ
広告アクションユーザーは、サードパーティーCookie規制が進む中で、
リターゲティングの補完ができる重要なターゲティング機能です。
特に、
「広告に特定のアクションを起こしたユーザー(≒興味を示したユーザー)」
を効率的に再アプローチできる点が大きな特徴です。
リターゲティングの補完としてはもちろん、
類似ユーザーリストの作成元としてリーチの拡大などに活用できるなど、
多様な運用戦略に対応できる柔軟性も魅力の一つです。
広告アクションユーザーについて仕組みを理解し、目的や状況に応じて効果的に活用していきましょう。