サンリオは物販ビジネス、ライセンスビジネス、テーマパークビジネス、教育事業などで大きな成功を収めた企業です。
その成功の理由の1つがマーケティング戦略です。
今回は、サンリオのマーケティングがどうして成功したのかという点に注目してみましょう。
サンリオとは?
サンリオは東京都品川区に本社を置く会社で、「みんななかよく」という企業理念の元、様々な事業を展開しています。
サンリオという社名の由来については公式サイトに説明があります。
「聖なる河」という意味で、「人類が最初に住み始めたと言われる河のほとりに聖らかな文化を築きたい」という気持ちで会社を設立したそうです。
世界中から愛されるキャラクターで有名
サンリオというと、世界中から愛されるキャラクターでも有名な会社です。
人気のハローキティを始め、ポチャッコ、リトルツインスターズ、タキシードサム、ポムポムプリンなど様々なキャラクターを育ててきました。
その種類は450種類以上ともいわれ、ライセンス発行もしています。
サンリオのマーケティング戦略
サンリオはキャラクター市場で大成功を収めた会社です。
その理由は、効果的なマーケティング戦略を行ったためでした。
そこでサンリオがどのようなマーケティングを行って、ファンを増やしていったのかを紹介しましょう。
マーケティング本部が推進
サンリオのマーケティングはグローバル・デジタルマーケティング本部が推進しています。
同本部では、お客様の行動、気持ち、ニーズを把握し、サンリオのビジネスに付加価値をつけることを目指しています。
グローバル・デジタルマーケティング本部の活動内容は以下のようなものです。
・構築したキャラクターをファンに届けるためのマーケティング
・オウンドメディアの開発・運営
・データ分析による各本部の課題抽出・業務推進など
マーケティング活動を専門的に行える部門を設けることで、効果的な戦略の構築ができるようになっています。
SNSの積極的な活用
サンリオでは、SNSをファンとの絆をより強固なものにするための有効なツールと位置づけ、積極的に活用しています。
活用しているSNSはTwitter、Facebook、LINE、Instagram、YouTubeなどで、40以上もアカウントがあるそうです。
Twitterでは、キャラクターごとにアカウントを設定しています。
「ぐでたま」は100万フォロワー、「シナモロール」は55万フォロワーと人気で注目の的になっています。
その人気の秘密はファンが抱くイメージを裏切らない運用をすることです。
コーポレートアカウントでも、ファンの気持ちに配慮しています。
コーポレートアカウントの性質上、広報的な側面が強くなり、イベントや商品情報などを掲載することが多くなりますが、営業的な内容を押しつけないようなコンテンツにしているそうです。
キティのLINEアカウントも人気が高く、ブロック率が低いです。
ファンに気に入ってもらえるようなOne to One 型のメッセージを配信したりして、身近に感じてもらえるように努めています。
キティのYouTube動画でもファンの反応を見ながら、喜んでもらえるような内容にしています。
サンリオキャラクターの人気が衰えないのは、このようなSNSでの配信努力があるからなのですね。
リアルとデジタルの双方でアプローチ
多くのファンにキャラクターに親しんでもらうために、サンリオではリアルとデジタルの双方でアプローチしています。
まず、リアルでは、店頭を通してキャラクターを育てようとしています。
ファンの支持を獲得するために、サンリオショップ、テーマパークのサンリオピューロランド、キャラクターカフェなどで接点を確立しました。
ファンにとってもうれしいふれあいの場所です。
育てたキャラクターにはライセンスも発行し、多くの企業の活動にも役立ててもらっています。
さらなる商品開発のための要素にもなっています。
デジタル面では、公式サイトやオンラインショップ、SNSなどを通して、ファンと接触しています。
リアル体験の強みは実際のキャラクター体験を通じて、深い感動や共感が得られることです。
デジタル体験のいいところは即時に拡散され、幅広いリーチを得られることです。
サンリオでは両方のメリットを最大限活用したマーケティングを行い、ファンを増やしています。
大イベントを開催
サンリオでは、ファンに喜んでもらおうと、定期的に様々なイベントやキャンペーンを実施しています。
特にサンリオピューロランドでは、アーティストやタレント、キャラクターとコラボした特別なイベントを実施しています。2023年も何度も行われています。
実際にイベントに参加したファンはSNSでその様子を拡散します。
その結果、さらに反響が大きくなり、サンリオキャラクターへの注目が高まりました。
「サンリオ+」を通して、ファンとのコミュニケーションを図る
「サンリオ+」はサンリオのポイントサービスですが、好きなキャラクターを設定できます。
設定したキャラクターを見た店頭スタッフが「私と同じキャラクターを設定していますね」と声をかけたことがあるそうです。
「サンリオ+」を通して、お店とファンとのコミュニケーションが弾んだ例です。
誕生日にはバースデースマイルプレゼントやキャラクターからお祝いメッセージも届きます。ますますキャラクターへの愛着が深まりますね。
顧客情報は一元管理
以前のサンリオでは、店頭販売、オンラインEC、テーマパークなどなどで会員システムがバラバラになっていて、顧客の全体像が把握できず、効果的なマーケティングが行えていませんでした。
そこで、2020年7月から「サンリオ+」を導入して、各種サービスを統合しました。
その結果、顧客情報の一元管理が可能になり、より充実したサービスを提供できるようになりました。
サンリオの強み
キャラクタービジネス分野で大成功を収めているサンリオですが、どのような強みがある会社なのかを分析してみましょう。
キャラクター開発力
サンリオといえば、キャラクター開発力と言われるほど、優れたキャラクターを開発することで定評があります。
現在の開発キャラクターは450を超え、年齢・性別を問わず幅広い層に愛されています。
サンリオキャラクターの開発が始まって50年ですが、常に市場に人気キャラクターが存在しています。
高い柔軟性と汎用性
サンリオは高い柔軟性と汎用性で商品開発をしています。
その時々の顧客や市場のニーズをとらえ、的確な商品を提供すべく、日夜努力しているのです。
他社との協力
他社と競い合いながらビジネスを展開する企業が多い中にあって、サンリオでは積極的に他社コンテンツと協業し、よりよいサービスの提供に努めています。
協力し合うからこそ得られる価値もあり、他社との競争では達成できないことを実現しています。
優れたデザイン性
サンリオのキャラクターは優れたデザインで開発されています。
自己肯定感を促すようなキャラクターばかりで、楽しく気分を盛り上げてくれるでしょう。
グローバルな基盤
サンリオはアメリカ、ヨーロッパ、アジアに10カ所の拠点を設け、グローバル展開しています。
海外の有力パートナーとも積極的に連携し、サービスの向上を図っています。
サンリオマーケティングの成果
サンリオマーケティングによりどのような成果が上がったのか、確認してみましょう。
2023年3月期の売上高は726億円
サンリオの2023年3月期の売上高は726億2,400万円でした。2022年3月期が527億6,300万円でしたから、数値が伸びています。
サンリオマーケティングの成果が上がっている証拠といえるでしょう。
業績予想を引き上げ
好調な売り上げを受け、サンリオは2023年11月2日、業績予想の引き上げを発表しました。今後もサンリオは活発なマーケティング活動を行い、ファン拡大に熱心に取り組むでしょうから、売上も伸びていくでしょう。
まとめ
いかがでしたか。
今回は、サンリオのマーケティングの特徴について解説しました。
リアルとデジタルの両方を駆使し、大きな成果を上げています。
自社のマーケティングで参考になる施策などがありましたら、ぜひお役立てください。