広告を活用する際、心理学を用いて訴求を行うことで、成果を上げやすくなります。
世の中には多くの広告心理学が存在しますが、いまいち理解しきれていない人もなかにはいるのではないでしょうか。
この記事では、広告心理学について実際に利用できるものをまとめて詳しく解説します。
1.広告心理学とは
広告心理学は、ユーザーの感情を効果的に揺さぶり、目に留めさせるためのテクニックです。
広告では、訴求文やタイトルで活用できる心理学が複数存在します。
現在需要を集めているWeb広告では、高精度なターゲティングによって潜在層・顕在層の両方にアプローチが可能です。
しかし、ユーザーに広告のクリックを促してアクションを起こさせるためには、クリエイティブで関心を持たせることも求められます。
2.心理学と広告による成約率の関係性
広告は、意図しなくても日々私たちの目に入ってきます。
オンラインやオフラインに関わらず、何気なく閲覧した広告に興味を持たせ、成約率を高めるには心理学を活用することが大切です。
もちろん心理学を考慮したからといって成約率が劇的に向上するとはいえませんが、可能性を上げるためにはユーザーの無意識に働きかける必要があります。
3.広告利用時に知っておきたい消費者心理「AIDMA理論」
AIDMA理論は、一般的な消費行動のプロセスを整理して、それぞれの頭文字を取った用語です。
具体的には、以下の工程を辿って購入まで至るといわれています。
①Attention(認知)
②Interest(関心)
③Desire(欲求)
④Memory(記憶)
⑤Action(行動)
広告や心理学を活用する際、どの層にアプローチするのかによって訴求方法も変わるため、それぞれの工程を理解しておきましょう。
3−1.アテンション(認知)
アテンションは、消費者が商品について認知するタイミングを表しています。
まだ存在に気づいていないため、企業がこの段階のユーザーを取り込むためには、Web・マスメディア広告などで認知を広げることが求められます。
3−2.インタレスト(関心)
インタレストは、消費者が商品について興味を持ち始めた段階です。
商品がどのような物なのか理解はしていても、まだ心から欲しいとは思っていません。
企業としては、具体的なメリットや商品にかけた思いを伝えて次の段階に誘導する必要があります。
3−3.デザイア(欲求)
欲求という意味を持つデザイアまで段階が進むと、消費者は商品のメリットや魅力を深く把握した状態になります。
しかし、特徴については理解しているものの、商品を購入する決定的な要因が足りていません。
デザイアから一歩先に進ませるためには、使った後のベネフィットをさらに具体的にイメージさせることが大切です。
3−4.メモリー(記憶)
欲しいという気持ちが高まった消費者は、次にメモリーと呼ばれる段階に入ります。
メモリーは、購入・利用する意思が高まっている段階ですが、まだ他の商品との検討や、予算との兼ね合いなどを考えている状態です。
この状態になっているユーザーを正確に取り込みたい場合、商品への欲求を忘れさせないように、リターゲティング広告などを使って想起させることが求められます。
3−5.アクション(行動)
アクションまで到達した消費者は、購入への意思が固まった状態です。
しかし、なかには「決算方法が分かりづらい」「在庫がない」などの理由で、最終的に離脱してしまうこともあるので注意しましょう。
購入意欲が高いユーザーを取り逃がさないようにするためには、オムニチャネル戦略を取り入れるなど、消費者が混乱しないための細かい工夫をすることが大切になります。
4.今から使える!広告表現に活用したい心理学12選
広告表現で活用できる心理学としては、以下のようなものが挙げられます。
- カクテルパーティー効果:ターゲットを振り向かせる
- ザイオンス効果:親近感や好印象を与える
- バンドワゴン効果:サービスへの信頼を向上させる
- 権威への服従原理:サービスへの信頼を向上させる
- ハロー効果:サービスへの安心感を向上させる
- 同調現象:サービスの安心感を向上させる
- 吊り橋効果:共感を得る
- 噴水効果:より多くの人を呼び寄せる
- 松竹梅の法則:価格が理由での離脱を防ぐ
- カリギュラ効果:クリック率を上げる
- シャルパンティエ効果:この商品はすごい、と思わせる
- クレショフ効果:正しい商品イメージを与える
それぞれ解説していくので、内容を確認していきましょう。
4−1.カクテルパーティー効果:ターゲットを振り向かせる
カクテルパーティー効果は、自分の興味があることに関して敏感に反応してしまう心理的な現象のことです。
パーティーのような騒がしい場所でも、自分の名前や関心のある言葉は聞き取れてしまうことからカクテルパーティー効果と呼ばれています。
広告では「乾燥でお悩みではないですか?」など、ユーザーの悩みをピンポイントで指摘する方法で取り入れられています。
4−2.ザイオンス効果:親近感や好印象を与える
接触回数が多くなるほど親近感や好印象を受け、最初は批判的な対象であっても受けいれてしまう現象をザイオンス効果と呼びます。
広告配信でも、同じメッセージを複数回重ねることで、親近感を与えてアクションにつなげることが可能です。
4−3.バンドワゴン効果:サービスへの信頼を向上させる
バンドワゴン効果は、多くの人が支持している事柄に対して信頼感が高まる心理効果のことです。
旅行に行った際などに「どうせなら行列ができるお店に行きたい」と思うのは、バンドワゴン効果によるものだといえます。
映画の動員数や利用者数の訴求など、広告配信でも活用できますが、なかには大衆と同じ行動を取ることに拒否感を感じる人もいるため注意が必要です。
4−4.権威への服従原理:サービスへの信頼を向上させる
権威への服従原理は、情報の実際の信憑性に関わらず、専門家や地位が高い人物の意見を信じてしまう現象のことです。
広告においては「有名店監修」「あの歯科医おすすめ」などの訴求方法で取り入れられています。
4−5.ハロー効果:サービスへの安心感を向上させる
人や物の目立つ特徴に注目してしまい、安心感や信頼感が増す効果をハロー効果と呼びます。
例えば「東大卒」と聞くと「ビジネスでも優秀な人物なんだろうな」と感じるのは、ハロー効果によるものです。
広告でも「有名人愛用」「ランキング1位」などの訴求をすることで、商品そのものへの安心感を向上させられます。
4−6.同調現象:サービスの安心感を向上させる
同調現象は、少数派よりも多数派の意見に従ってしまうことを指しています。
例えば「多くの人に利用されています」などの訴求を見ると、安心感を覚えて手に取ってしまうことなどが該当します。
広告では「購入者数◯◯人突破」などの文言を入れることで、同調現象を発揮させることが可能です。
4−7.吊り橋効果:共感を得る
吊り橋効果は、男女が危険な状態に陥った際に、通常よりも恋愛関係になりやすいという事象で多くの人に知られています。
マーケティングにおいても、困難を乗り越えた人物に親近感を覚える心理的テクニックとして活用されます。
広告から遷移させるLPや、動画広告などで商品開発の苦労などを語ることで、共感を得られやすくなるでしょう。
4−8.噴水効果:より多くの人を呼び寄せる
噴水効果は、最初にユーザーが喜びそうな情報を与えることで、さらなるアクションを促せる心理的効果です。
広告手法では「〇〇オフ」「2つで〇〇円」など、お得な情報を先に伝えてLPなどに誘導する際に活用できます。
4−9.松竹梅の法則:価格が理由での離脱を防ぐ
価格の幅が小・中・大とある状況では、中の商品が特に選ばれやすいという法則を松竹梅の法則と呼びます。
安すぎず高すぎない物を選択する心理を活用しており、コーヒーショップやレストランでも取り入れられている法則です。
特に売りたい商品の他に、2つ階級を用意することで「買わない判断」から「どれを選ぶか」にシフトさせることもできます。
4−10.カリギュラ効果:クリック率を上げる
「〇〇はやってはいけない」と言われた際、禁止されているのにも関わらず、行動に移したくなった経験はありませんか。
カリギュラ効果は、物事を禁止されるとかえって気になってしまう心理的効果を指した用語です。
広告の訴求では「〇〇以外の人は見ないでください」などの表現で取り入れられます。
4−11.シャルパンティエ効果:この商品はすごい、と思わせる
シャルパンティエ効果は、言葉によって物事への印象が変わる効果のことです。
実際「10キロの鉄と10キロの綿どっちが重い?」という質問を聞くと、同じ重量なのに綿の方が軽く感じるという人もいるのではないでしょうか。
広告で「ビタミンC 〇〇mg配合」よりも「レモン◯個分のビタミンC配合」などの表現の方がイメージしやすく、信頼感が高まるのはシャルパンティエ効果によるものだといえます。
4−12.クレショフ効果:正しい商品イメージを与える
画像や動画を見る際、事前に得た情報によって感想が変わる効果をクレショフ効果と呼びます。
広告配信時に、意図しなくても背景の色や全体的なデザインによって商品のイメージが変わることがあるので注意が必要です。
原色は元気で子供らしい印象を与え、黒や白は高級感を連想させる効果があります。
5.まとめ
いかがでしたか?
広告の活用時には、心理学を活用することでさらに効果的な配信が可能になります。
世の中には多数の心理的効果や法則が存在するので、活用しやすそうなものから確認して取り入れていきましょう。
AIDMA理論などでユーザーの消費行動を理解して、それぞれのターゲットに合わせた手法を使い分けることが大切です。