自社の販路拡大を目指している人のなかには、代理店の活用を検討している方もいるでしょう。
しかし、そもそもどのような代理店が存在するのかや、具体的なメリットについて知らない方も多いです。
この記事では、代理店の構造や種類、メリット・デメリットなどを解説していきます。
「代理店を活用したいけど、どのような利点があるのかわからなくて踏み出せない」と考えている方はぜひ参考にしてください。
1.代理店とは
まず、代理店についての概要と合わせて、以下の項目を解説していきます。
・業務委託との違い
基本的な内容から抑えていきましょう。
1−1.代理店の意味
代理店は、企業や団体による依頼を受けて、代わりに顧客との取引を行う企業・個人を指しています。
他の企業や個人に販売を依頼することにより、本部はリソースを割くことなく販路拡大を目指せる点が大きなメリットです。
代理店のなかには、商品の販売だけでなく、購入された後のフォローまで担当する代理店も存在します。
活用する際は、どのような代理店に依頼をすべきなのか考慮することが大切です。
詳しい代理店の種類については後述します。
1−2.フランチャイズとの違い
代理店とフランチャイズは、どちらも企業のパートナーになりビジネスを展開します。
しかし、細かいビジネスタイプや収益などが異なるため注意が必要です。
代理店は、商品の販売を行う権利を与えられますが、フランチャイズではそれに加えてブランドの利用やノウハウについても教えてもらえます。
代理店の場合は販売実績をもとにした手数料が利益となりますが、フランチャイズでは販売に必要な費用やロイヤリティを売上からひいた額が収益です。
1−3.業務委託との違い
業務委託は、企業から委託された業務の一部を遂行することで契約が満たされます。
代理店と混同されることも多いですが、業務委託は商品の販売だけでなく、デザインや記事の制作など多くの業務を対象としていることが特徴です。
代理店は商品の販売に注力しているという点で違いがあります。
2.代理店組織の構造
代理店組織は以下のような構造に分かれています。
・一次代理店
・二次代理店
上記について順番に解説していきます。
2−1.総代理店
総代理店は、複数の代理店をまとめている代理店のことです。
主に代理店の売上管理や販売状況の確認などを行っており、直接商品の販売を行うことはありません。
商品の開発をしているメーカーと契約しているため独占販売権を持っており、パートナーとして代理店を率いていきます。
2−2.一次代理店
一次代理店は、メーカーや総代理店と契約を交わして商品を販売します。
一次代理店から直接販売活動を行うこともありますが、二次代理店を通して営業を実施するケースが多いです。
また、二次代理店から三次代理店などが続くケースもあるため、実質ピラミッドのトップに該当します。
2−3.二次代理店
二次代理店とは、一次代理店の傘下として商品・サービスを販売する代理店のことです。
商材の販売権利を得ることで、自社の販売網を有効活用します。
一次代理店から営業の知識や管理機能を得て業務を遂行していきますが、売上からマージンを支払う必要があります。
3.代理店の種類
代理店には、大まかに分けて以下3つの種類が存在します。
・再販代理店
・OEM
どのような代理店が存在するのか確認していきましょう。
3−1.取次代理店
取次代理店は、メーカーが開発している商品をユーザーに紹介することが主な業務です。
あくまでも顧客に取り次ぐことがゴールであるため、詳しい契約対応などはメーカー側が担当することになります。
また、アフターフォローについてもメーカー側で対応が必要です。
3−2.再販代理店
再販代理店は、商品・サービスの販売からその後のフォローまでを担うことが特徴です。
再販代理店では、メーカーが設定した卸値に利益を上乗せして、価格を設定できます。
なお、例え再販代理店であっても技術的に説明が難しい場合などは、メーカーが顧客に説明をしたりフォローを行ったりすることもあります。
3−3.OEM
OEMは「Original Equipment Manufacturer」の略称で、メーカーが自社ブランドでない商材を製造することです。
委託をする側にとっては、設備投資や人材費用を抑えながら、自社では製造できない商品を作れる点がメリットになります。
受託するメーカー側は、技術力の向上や使用設備の稼働率向上などが利点です。
近年では、食品やアクセサリーなど、さまざまな分野で取り入れられています。
4.代理店を活用するメリット
代理店を活用するメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
・固定費をかけずに販路を拡大できる
・販売戦略の見直しがしやすくなる
それぞれ確認していきましょう。
4−1.自社のリソースを割かずにリーチ向上が期待できる
代理店を通すことにより、本来の営業範囲よりも広い範囲に対してリーチが可能です。
例え東京都内など販路が限定されていたとしても、代理店を活用すれば全国各地にまで範囲を拡大することもできます。
効率的にリーチ向上を目指したい場合は、代理店の複数契約が有効的な手法です。
4−2.固定費をかけずに販路を拡大できる
代理店を活用することで、自社のリソースを割かなくても多くのユーザーにアプローチが可能です。
自社内で営業販路の拡大を目指す場合は、人材の確保や設備投資などさまざまな費用がかかります。
代理店を通して販路拡大を目指せば、本部は企画や商品開発など他の作業に集中しやすくなるでしょう。
4−3.販売戦略の見直しがしやすくなる
代理店は、自社で販売戦略を練るよりも見直しがしやすい点もメリットです。
自社で営業を行う場合は、人材の確保や配置転換、部署替えなどさまざまな見直しをする必要があります。
代理店であれば、委託の数を増やすか減らすかなど、自社内よりも簡単に調整が可能です。
5.代理店を活用するデメリット
代理店を活用するデメリットには、以下の3点があります。
・営業活動を完全にコントロールできない
・自社にノウハウが溜まらない
メリットと合わせて上記についても把握しておきましょう。
5−1.代理店の実績によって売上に影響が発生する
代理店に販売を委託することで、外部の実績が売上に大きな影響を与えるようになります。
実績をコントロールするには、自社と代理店が一体になって経営を行うことが大切です。
全てを代理店に任せるのではなく、どのような戦略を立てていて現在の方針に問題はないのかなど確認しておきましょう。
5−2.営業活動を完全にコントロールできない
代理店の数が増えるほど、本部は営業活動のコントロールが難しくなります。
代理店の方針で価格を下げたりクレームが出たりなど、営業活動を完全にコントロールすることが困難になるでしょう。
代理店の営業活動によって自社ブランドのイメージが下がってしまう可能性があるため、正確なマニュアルの制作や販売状況の確認などを定期的に行っておくことがおすすめです。
5−3.自社にノウハウが溜まらない
代理店の人材や販売経路を活用することで、自社に営業のノウハウが溜まりづらくなります。
本部と代理店の間にトラブルが発生し契約が解除になった場合、獲得した販路も失う可能性が高いです。
顧客からの意見や他地域での販売経路など、事業で活かせる知識を自社独自のものとして得づらい点には注意しましょう。
6.代理店を活用する際の注意点
代理店を選定するときはなるべく慎重に選ぶことが大切です。
経営方針に合う企業を選ぶのはもちろんのこと、営業エリアや強みとしているポイントなど、細かい点にまで注意を払いましょう。
特に、詳しい料金設定については忘れずに確認しておいてください。
最近では、代理店と活用したい企業をつなぐマッチングサイトもあるので、必要に応じて導入することがおすすめです。
7.まとめ
いかがでしたか?
代理店は、他社に販売を委託することで、売上向上を目指す手法です。
代理店を活用することで、自社の販路を効率的に拡大できるメリットがあります。
ただし、他社に営業活動を依頼することでノウハウが溜まりづらくなったり、活動のコントロールが難しくなったりするデメリットも存在します。
トラブルが発生しないように、契約や活動内容の把握はしっかり行いましょう。