近年効果的なマーケティング手法の一つとして、ライブコマースという言葉をよく耳にします。今後さらに規模が拡大していくことが予想されるため、事前にどのような手法なのか確認しておきましょう。
この記事では、ライブコマースの意味やメリット、企業事例などについて解説していきます。ライブコマースについて詳しく知りたい方はぜひ最後までお読みください。
1.ライブコマースとは?
ライブコマースは、近年特に中国で話題を集めています。
国内でも普及が進んでいるため、意味や現状についてそれぞれ把握しておきましょう。
1−1.ライブコマースの意味
ライブコマースは、SNSなどのツールを活用してユーザーとコミュニケーションを取りながら商品の購買を進めるマーケティング手法です。
インターネットや通信環境が発達したことで、近年では誰もがライブ配信を気軽に閲覧できるようになっています。
リアルタイムでユーザーと会話を展開したり質問に答えたりできるため、商品のメリットについて普及をしやすい点が特徴です。
広告・LPなどの情報だけでは補填できないような情報も網羅できるため、顧客を確実に確保し、売り上げを拡大できます。
1−2.ライブコマースの日本と中国の現状について
ライブコマースは、近年特に中国で注目を集めています。
2021年には、中国での市場規模は1兆2,012億元(約24兆円)に上り、2025年までに2兆1,373億元(約42兆円)になるといわれています。
中国ではすでに、1日に数百億円規模の売り上げを達成するライバーもいますが、国内ではまだ概念が浸透していきっていないのが現状です。
MMD研究所が男女5,000人を対象にして、2021年に発表したデータでは、ライブコマースの利用経験は12.7%で認知は43.2%ほどでした。
しかし、今後ライブコマースの特徴やメリットが浸透していくにつれて、国内でもさらに注目を集めて行く可能性はあるでしょう。
実際、国内におけるEC市場は、毎年成長傾向にあります。
経済産業省が発表しているデータでは、2013年の時点で市場が5.99兆円だったのに対し、2021年からは13.2兆円規模にまで伸びています。
インターネットやデバイスの発達にプラスして、コロナ禍で外出を控える人が増えたこともEC市場の拡大の要因だと考えられます。
今後、国内で先行優位を取るためにも、ライブコマースの具体的な内容について事前に把握しておくことが大切です。
参考:2022-2023年中国直播电商行业运行大数据分析及趋势研究报告|網易
参考:ライブコマースの利用経験は12.7%、認知は43.2%|MMD研究所
参考:令和3年度電子商取引に関する市場調査|経済産業省 商務情報政策局 情報経済課
2.ライブコマースが注目されている理由やメリットについて
ライブコマースが注目されている理由やメリットとしては、以下の2つが挙げられます。
- 実店舗のようにリアルタイムで双方向コミュニケーションが取れる
- モバイルデバイスを利用中のユーザーにリーチできる
具体的にどのような利点を発揮できるのか確認していきましょう。
2−1.実店舗のようにリアルタイムで双方向コミュニケーションが取れる
ライブコマースは、広告やLPなどを活用したマーケティング手法よりも、ユーザーとコミュニケーションを取りやすいことが大きなメリットです。
ライブを見ている見込み顧客から商品についての質問を受けて回答することもできるので、疑問点をその場で払拭できます。
例えば、アパレルであればモデルを用意してサイズ感を見せることもできるので、ユーザーにとっても不安をなくしたうえで商品の購入に踏み切ることが可能です。
2−2.モバイルデバイスを利用中のユーザーにリーチできる
スマートフォンユーザーへのアプローチに有効なのも、ライブコマースのメリットのひとつです。
国内外に関わらず、世界中のユーザーを対象にできるため、範囲を広げた訴求が可能になります。
屋外広告やテレビショッピングなど、今までの手法では訴求しきれなかった対象に商品の魅力を伝えたい企業にとっては大きな利点です。
3.ライブコマースのデメリット
ライブコマースには以下2つのデメリットも存在します。
- 事前告知が必要
- 配信者のスキルが求められる
メリットと合わせてデメリットについても把握しておきましょう。
3−1.事前告知が必要
ライブコマースは、ただ始めるだけでは大きな成果は見込めません。
まずは、興味を持っているユーザーに対して告知を行い、ライブ配信に来てもらう必要があります。
ブランドの認知を事前に高めるために広告を配信したり、SNSで情報提供を行ったりなど、対策が不可欠になるでしょう。
確度が低いユーザーばかりを集めてもすぐに離脱してしまう可能性があるので、商品の特徴やニーズにマッチした人物を対象にすることが大切です。
3−2.配信者のスキルが求められる
ライブコマースで成果を上げるためには、配信者のスキルも必要です。
配信を行う人物としては、インフルエンサーやブランドの担当者など多数候補が挙げられますが、いずれもある程度の営業スキルを身につけておくことが大切になります。
特に、外部に対して配信の依頼を行うときは、過去の経歴や実績も確認して成果が見込めるのか確認しておきましょう。
4.ライブコマースの企業事例について
ライブコマースの企業事例として、以下2つが挙げられます。
- SHIPS
- 資生堂
それぞれ確認していきましょう。
4−1.SHIPS
画像引用:SHIPS|SHIPS
衣類・小物類を販売しているSHIPSは、2020年5月からライブコマースを開始しました。
ライブ配信では、著名なインフルエンサーではなくショップ店員を起用して、コミュニケーションを生みやすくしています。
また、配信画面で商品の値段や画像を表示させることで、気になる情報をいつでも閲覧できるように工夫が施されていることも特徴です。
4−2.資生堂
画像引用:SHISEIDO|資生堂
化粧品の販売や製造を主に行っている資生堂は、2022年7月からライブコマースをスタートしました。
専門的な知識を持ったメイクアップアーティストなどが商品特徴・メイクの仕方について解説することで、誰でも学びながら閲覧できるコンテンツになっています。
2020年には「Shiseido BEAUTY EXPO」と呼ばれるオンラインイベントも開催し、著名な芸能人をゲストに呼んで商品の訴求を行っていました。
SNSアカウントのフォローや事前に会員登録を行なった人たちにクーポンをプレゼントすることで、多くの視聴者を獲得することに成功しています。
5.ライブコマースで活用できるアプリ
ライブコマースで活用できるアプリとしては、以下5つのようなものが挙げられます。
- YouTube
- LINE LIVE
- ライコマ
- TAGsAPI
具体的にどのようなアプリなのか、それぞれ解説していきます。
5−1.YouTube
世界最大規模の動画配信プラットフォームとして知られているYouTubeでは、YouTubeライブを開催することでライブコマースを取り入れられます。
YouTubeは国内でも7,000万人ほどのユーザーを抱えているため、誰でも視聴しやすいことが特徴です。
ライブコマースを気軽に取り入れてみたい方には特におすすめのサービスといえます。
参考:「選ばれている、理由がある」—— 生活者・マーケターにとっての YouTube|Think With Google
5−2.Instagram
Instagramでも、インスタライブを活用することでライブコマースを実施できます。
YouTubeと同じく国内で多数のユーザーを確保しているため、導入しやすい点がメリットです。
また、Instagramを日頃から活用している人の特徴として、否定的な意見を述べる割合が低いため、ライブを盛り上げて購買につなげやすくしてくれます。
5−3.LINE BUY
国内で生活インフラとして根付いているLINEでは、LINE BUYと呼ばれるサービスを活用できます。
日本人口の8割近くが活用しているLINEを通してライブコマースを行うことで、事前告知もスムーズに進行することが可能です。
アーカイブを通して商品の購入も可能なので、ユーザーのストレスを解消しながら商品の訴求ができます。
5−4.ライコマ
ライコマは、株式会社The Unitが提供しているサービスです。
カート連携型であることが特徴で、配信されている動画を開いた状態で商品をカートに追加できます。
アーカイブを商品・ショップページに埋め込むことも可能なため、導線の確保を徹底したい企業に向いています。
5−5.TAGsAPI
TAGsAPIは、株式会社Mofflyによって運営されており、細かい開発なしでECサイトにライブコマースを導入できるクラウド型ライブコマースサービスとして認知を広げています。
基本的にどのECサイトでも取り入れることができ、数行のコードを加えるだけで導入が完了することが特徴です。
専門的な知見を持ったコンサルタントからサポートを受けられるため、本格的にライブコマースを始めたい方におすすめできます。
6.まとめ
いかがでしたか?
ライブコマースは、特に中国で需要が高まっていますが、国内でも注目を集めています。
実店舗のようにコミュニーションを図りながら訴求ができ、世界中のユーザーにアプローチできることがメリットです。
主なサービスとしてはYouTubeやInstagram、TAGsAPIなどが挙げられます。
これから導入する場合は、事前の告知や配信者のスキルを考慮してライブコマースを実施しましょう。