広報やPR活動を行ったあと、どのような効果測定方法を取るべきなのか悩む人は多いです。
効果を可視化することが難しい場合は、広告換算値を参考にすることがおすすめです。
この記事では、広告換算値の意味や各媒体ごとの数値の導き方を解説します。
具体的な算出方法についても紹介するので、広告換算値をどのように活用すべきかわからない方はぜひ参考にしてみてください。
1.広告換算値の意味
広告換算値は、広報やPR活動を実施したあとに行われる効果測定方法の1つです。
雑誌やWebメディアなどで取り上げられた露出効果を、実際の枠を買い取って広告を掲載したときの費用とし比較します。
他メディアで取り扱われた際の相対的な価値を判断できるため、広報やPRを行った際に参考にする人が多いです。
2.広告換算値の利点
広告換算値を利用することで、可視化することが難しい効果を数値として評価できます。
他メディアの掲載数だけで広報やPRの影響度を測る場合は、各媒体の知名度や発行部数などを考慮していないことになるので注意が必要です。
実際にその枠に掲載した場合の広告費を参考値にすることで、成果を相対的に判断することができます。
過去の数値や競合の広告換算値も参考にすれば、PR活動のタイミングや内容など改善点も効率的に導き出せるでしょう。
3.広告換算値を導き出す方法
広告換算値を導き出す場合、以下の媒体を参考にすることが多いでしょう。
・テレビ
・ラジオ
・雑誌
・新聞
それぞれの媒体ごとに、広告換算値を導き出す方法を解説していきます。
3−1.Webメディア
Webメディアでは、業界全体で広告掲載の費用が定まっていません。
したがって、取り上げられた各メディアごとに広告料を調査して広告換算値を導き出す必要があります。
特に参考にされることが多いのは、一記事掲載された際、その媒体のトップページのバナー広告料金と比較する方法です。
算出方法は企業によってばらつきがあるため、自社独自の方法で導き出しても問題ありません。
3−2.テレビ
テレビで取り扱われた情報を参考にする場合は、まず放映された秒数をカウントします。
カウントされた秒数をもとに、テレビ局で放送される15秒CMの費用と比較しましょう。
なお、ゴールデンタイムや深夜帯など、CMの放送時間によっても必要な費用は変わります。
自社の情報が取り扱われたタイミングごとに広告換算値を導き出すことが大切です。
3−3.ラジオ
ラジオの場合もテレビと同じように放送された時間を参考にします。
テレビでは15秒のCM費用をもとに換算しますが、ラジオでは特に20秒CMを参考にすることが多いです。
ラジオ局によっても費用は異なるので、取り扱われた媒体によって数値を調整しましょう。
3−4.雑誌
雑誌の広告換算値を導き出す場合は、1ページ内で掲載された面積を参考にします。
「1/2、1/3」といった掲載面積と、雑誌媒体によって設定されている広告の出稿費用を比較しましょう。
媒体だけでなく掲載される箇所によっても広告料は変わりますが、基本的にカラーで1ページ出稿した際の費用を参考にすることが多いです。
3−5.新聞
新聞の広告換算値も雑誌と同様に面積をもとにします。
新聞は15段の文章で構成されているため「1cm(横のサイズ)×1段」の計算式を用いて、換算値を出しましょう。
例えば「1cm1段=1,000円」の媒体で「5cm×5段」の掲載がされた場合は、広告換算値の式は以下のようになります。
- 「5×5=25」
- 「25×1,000(円)=25,000(円)」
新聞媒体によって掲載料金が変わるので、都度確認が必要です。
4.広告換算値を算出する詳細な手順
広告換算値を算出する際の手順は以下の通りです。
- 掲載情報を集めて記録する
- 掲載サイズを図る
- 媒体ごとに広告料金を調査
- データをスプレッドシートなどに集計
順番に解説していきます。
4−1.掲載情報を集めて記録する
広告換算値を算出したい場合、まずは掲載されている情報を探して記録していきましょう。
雑誌や新聞であれば、情報を取り扱っている箇所を切り取って保存します。
Webメディアは対象となるページをスクリーンショットなどで保存しておくか、印刷してファイルに入れておきましょう。
4−2.掲載サイズを図る
掲載情報を集めて記録したら、それぞれのサイズを図ります。
前述したようにテレビや雑誌など媒体によって計測方法が異なるので、正しい方法でサイズを導き出しましょう。
テレビ・ラジオは放送された時間、雑誌・新聞は掲載された面積をもとにします。
4−3.媒体ごとに広告料金を調査
媒体ごとに設定されている広告料金を使って換算するため、実際の費用を調査します。
雑誌やラジオ、Webメディアなどでは、媒体資料に具体的な料金が掲載されていることが多いです。
公式サイトから資料の申請やダウンロードができるので、確認しておきましょう。
また、テレビや新聞の場合は社団法人日本広告業協会(JAAA)が発行している広告料金表を参考にできます。
参考:協会刊行物|JAAA
4−4.データをスプレッドシートなどに集計
各データを集めたら、スプレッドシート・Excelなどのツールを使って掲載数や内容について集計します。
後で見直しがしやすいように、具体的なメディアの名称や掲載が実施された日付など、細かい情報も記載しておくことがおすすめです。
5.広告換算値の注意点
広告換算値は、定量的にPR活動の評価を下せる点が大きなメリットです。
しかし、広告を出稿した際にかかるであろう仮のコストを元にしています。
また、広告はデザインやレイアウトといった内容を自社でコントロールできますが、他の媒体で取り扱われた情報は操作できません。
絶対的な価値を表す数値ではないため、広告換算値を活用する場合はあくまでも参考程度にすることが大切です。
6.広告換算値と合わせて重要になる評価指標
広告換算値はPR活動による成果量を計測することはできても、発生したユーザーのアクションなどを導き出すことはできません。
したがって、以下のような評価指標も合わせて確認することがおすすめです。
・実店舗・Webサイトへの訪問数
・売上・問い合わせの数
・公開されている記事の論調
それぞれ解説していきます。
6−1.企業・ブランドの認知度
企業やブランドの認知度は、ターゲットとなるユーザー層へのアンケートによって調査します。
データを集めるには一定の費用が必要になりますが、アンケートを実行することで世の中が自社に対して抱いているイメージや好感度についても把握できます。
プレリリースなどでPR活動をしたあとは、以前と比べてアンケート結果に変化があったのか確認してみましょう。
6−2.実店舗・Webサイトへの訪問数
実店舗かWebサイトを運営している場合、広報活動による訪問者数の変化についても確認しておくことがおすすめです。
各媒体で情報が出たタイミングと以前の状況を比較することで、PRの影響度合いを把握できます。
6−3.売上・問い合わせの数
PR活動による直接的な成果を知りたい場合は、売上・問い合わせの数を参考にします。
前後の推移をチェックし、ユーザーの具体的なアクションに変化があったのか見てみましょう。
6−4.公開されている記事の論調
自社の情報が露出した際は、公開されている記事の論調についても確認しておくことがおすすめです。
どれだけ情報が拡散されたとしても、内容がネガティブなものであれば世間からのイメージや評価も低くなってしまうので注意しましょう。
分析をするには時間がかかりますが、広告換算値と合わせて参考にすることでPR活動による効果をより具体的に把握できます。
7.まとめ
いかがでしたか?
広告換算値は、PRや広報活動のあとどのような効果があったのか確認するための評価指標です。
テレビやラジオなど、各媒体で掲載されている情報を実際の広告費用と比較することで、定量的に成果を確認できます。
ただし、あくまでも成果の量を把握するためのものなので、参考程度にしておくことが大切です。
PR活動によって発生したユーザーのアクションなどをより具体的に知りたい場合は、アンケート結果や実店舗・Webへの訪問数なども参考にしましょう。