現在、広告市場はますます拡大の一途をたどり、インターネット広告国内市場規模は2023年度には2.8兆円にまで拡大すると予測されています。広告に触れる機会は今後ますます増加していく一方で、広告配信の仕組みまできちんと理解している人は意外と少ないのではないでしょうか?
今回は、「聞かれると答えられない」「知っているようで知らない」アドテクノロジーについて、分かりやすい図解とともに解説していきます。
1.アドテクノロジーとは?
2.アドテク登場の背景
3.アドテクにおける3つの関係性
4.知っておくべきアドテク3選
4-1.DSP(SSP)
4-2.アドネットワーク
4-3.アドエクスチェンジ
5.更に抑えておきたいアドテク用語
5-1.第三者配信(3PAS)
5-2.DMP
6.まとめ
1.アドテクノロジーとは?
アドテクノロジーとは、Advertising Technology(アドバタイジングテクノロジー)の略で、アドテク、アドテックなどと略されて呼ばれることがほとんどです。(※本記事では以降アドテクとします)
アドテクを簡単に説明すると、インターネット広告の配信・最適化におけるシステムを指します。いまや私達が目にしているインターネット広告の配信の裏側では、当たり前に使われている技術です。
2.アドテク登場の背景
1994年に初めてインターネット広告が登場した当初は、広告主が期間やメディアを指定し、メディア側でサイトに広告をベタ貼りするという至ってシンプルな仕組みでした。しかし、インターネットが普及するにつれて、インターネット広告が求められる技術も、それに伴う広告の管理も複雑化していきました。
そこで広告の管理を柔軟に行えるように、広告の配信・最適化をプログラマティックに処理してくれる技術であるアドテクノロジーが誕生したのです。アドテクの登場により、サイトが表示されるたびにどの広告を出すか柔軟に変えられることや、クリック数から効果を測定し、より高速にPDCAを回すことが可能になりました。
3.アドテクにおける3つの関係性
アドテクは主に下記のように3つの関係で成り立っています。
アドテクは3つの関係が全てWIN-WIN-WINになるように作られており、それぞれには下記のようなメリットがあります。
アドテクにおけるそれぞれのメリット
・広告主
広告の効果測定が可能なため、費用対効果の把握ができ、最適化につなげることができる
・媒体(メディア)
コンテンツの特性を活かすことができる、多くの広告が掲載されることで収益を上げやすくなる
・ユーザー
自分にとってより有益な広告、または求めている情報に関連する広告が表示される機会が増える
4.知っておくべきアドテク3選
アドテクを知る上で、抑えておきたい代表的な3つを説明します。
4-1.DSP(SSP)
DSPとはDemand Side Platformの略称で、広告主や広告会社が使用する広告在庫の買い付け、広告配信、掲載面・オーディエンスのターゲティングを一括管理するサービスです。広告主側の収益を最大化するためのプラットフォームと言えるでしょう。
反対に、メディア側の収益を最大化するプラットフォームがSSPです。SSPとはSupply Side Platformの略称で、メディアは広告枠や値段、出稿希望条件などを設定すれば、SSPがそれらに合致した最も高い掲載費を支払うことができる広告を自動で配信します。
さらに、DSPとSSPの間ではRTB(Real Time Bidding)と呼ばれる入札オークションが0.1秒以内に行われており、広告主とメディアの利害を一致させるための仕組みが取られています。
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4-2.アドネットワーク
ウェブサイトやブログ、SNSなど複数のメディアの広告枠を一元で管理している広告配信管理システムです。複数の広告枠を管理している1つの箱をイメージしていただけると分かりやすいかと思います。
アドネットワークでは、メディアやネットワークを限定して配信を行うことが可能になります。
4-3.アドエクスチェンジ
複数のメディアやアドネットワークが持つ広告掲載枠を束ねて、交換できるプラットフォームです。アドネットワークとよく間違われがちですが違いは下記2つです。
束ねる範囲
アドネットワークは複数のメディアを束ねているのに対し、アドエクスチェンジは複数のメディアに加え、アドネットワークも束ねることができます。
入札単位
アドネットワークはネットワーク全体に対しての配信入札であるのに対し、アドエクスチェンジはインプレッション単位の入札が可能です。これにより不要な入札を減らし、より広告の費用対効果を高めることが期待できます。
5.更に抑えておきたいアドテク用語
ここから更に、アドテクでよく使われる用語ついてより詳しく説明していきます。
5-1.第三者配信(3PAS)
第三者配信とは、3rd Party Adsの略で、3PASとも呼ばれます。
第三者配信の意味は、大きく分けて狭義の意味と広義の意味の2つに分かれます。狭義の意味では、広告配信・効果測定を一括管理できる第三者配信事業者のアドサーバー自体を指します。
一括管理でできることの例を2つを紹介します。
・1つのサーバーを介して複数のメディアのアドサーバーにバナーの入稿・差し替えを一括で行う
・メディアごとに分かれていたインプレッションを効果測定までのデータにまとめて可視化・確認が可能になる
広義では、広告を掲載したいメディアとは別のアドサーバー(第三者)から広告を配信するという意味で、先程紹介した、DSP・アドネットワーク・アドエクスチェンジなどをまとめて第三者配信とします。
5-2.DMP
DMPとは、Date Management Platformの略で、インターネット上のビッグデータや自社サイトのログデータなどのマーケティングデータを一元管理し、分析・分類することで、マーケティング活動に生かせる情報へと最適化するツールです。
そもそもデジタルマーケティングには、データが必要不可欠です。DMPを使用することでアクセスログや会員情報などの属性データを広告施策に活用しやすくなるのです。
DMPは、オープンDMPとプライベートDMPの2種類に分類されます。
オープンDMPは、外部メディアの持つデータを活用するためのツールであり、プライベートDMPは、自社で収集・保有しているデータとともに、自社のマーケティングに必要なデータをオープンDMPから取り込んで利用するためのプラットフォームです。
6.まとめ
いかがでしたか?
広告を運用しているとついつい自身が運用している広告(純広告やリスティング広告など)の知識ばかり収集しがちですが、より効果的な広告を運用するにあたり必要なのは、インターネットに関する幅広い知識です。(筆者も痛感させられています…(T_T)笑)
まずはアドテクノロジーについて理解を深め、より良い広告運用の参考になれば幸いです!