エナジードリンクという分野で圧倒的なシェアを持つレッドブルは、オーストラリアで創業し、日本には2005年頃から進出するや否や大きな成功につながっています。
日本における飲料メーカーには、コカ・コーラやアサヒ飲料、サントリー、伊藤園などが中心となりますが、この中でもレッドブルは成長し続けています。
この背景には、「翼を授ける」というフレーズとともにテレビCMなどでブランド価値を高めたり、サンプルやSNSなどを活用したマーケティング戦略が影響しています。
エナジードリンクという新たな飲料カテゴリを広めることとあわせ、レッドブルが行った様々なプロモーション施策は、自社のマーケティングに活かしていくことも可能です。
そこで今回は、レッドブルのマーケティング戦略について、その要因や自社のマーケティングに活かせるコツなどについて、事例とあわせポイントを中心に紹介していきます。
レッドブルのマーケティング戦略とは?
画像引用:Red Bull Energy Drink – 公式サイト
オーストリアのマテシッツ氏が創業したレッドブルは、2005年頃から日本に進出し、エナジードリンクという新たな飲料カテゴリを広めるとともに売上増加につなげています。
従来の飲料メーカーには、コカ・コーラをはじめアサヒ飲料、サントリー、伊藤園などが市場の中心にいましたが、レッドブルは商品だけでなく新たな飲料カテゴリを広めることで、飲料業界において一定の地位を築いています。
レッドブルが市場における優位性を確立できた背景には、徹底したブランディング強化によるマーケティング戦略が影響しています。
「翼を授ける」というキャッチコピーによるテレビCMは大きな反響につながり、宣伝カーやサンプリングなどによって、エナジードリンク=レッドブルという印象を強めてきました。
このようなマーケティング戦略は、独自性を高め新たなマーケットを開拓するとともに、市場における優位性を構築することにつながっています。
ブランディングの重要性
自社の売上増加や利益拡大を図るためには、商材やサービスの認知度を拡大していくことが重要です。
そのため、ブランディングはマーケティング戦略において欠かせません。
レッドブルでは、特にこのブランディングを重要視し、徹底的なブランディング強化を行っています。
とはいえ、市場において一定の商材やサービスがユーザーに浸透している場合には、広くアプローチしたところで認知拡大にはつながりません。
そこでレッドブルは、エナジードリンクというカテゴリ・ジャンルをブランディング強化し、新たなマーケットの開拓に注力しました。
その結果、新たなニーズの掘り起こしに成功し、結果的に市場における優位性を確立することができています。
これは、自社のマーケティング戦略に落とし込んで活用することも可能です。
商材やサービスにおける強みを活かし、勝負できる市場を開拓することができればレッドブル同様に優位性を確立することができます。
目先の売上ではなく、中長期的な利益拡大を図るためにも、目的に応じた市場を確立することもマーケティング戦略としては重要です。
レッドブルが実施したマーケティング戦略
続いて、レッドブルが実施したマーケティング戦略について紹介していきます。
レッドブルは、新たなマーケットの開拓と市場における優位性を確立するため、以下のような施策を行い効果につなげています。
① 独自の宣伝カーを活用したブランディング
レッドブルは、ブランディング強化のために独自の宣伝カーを活用したプロモーションを行っています。
BMWの車両の後ろに大きなレッドブルの缶を取り付けたデザインで、一目見るだけで興味関心を惹く広告塔となっています。
ただ、一般的に宣伝カーは、一度に多くのユーザーに訴求できるわけではないため、ブランディングとしては弱い傾向もあります。
とはいえ、インパクトのある宣伝カーであれば、希少性が高まりユーザーの興味関心を煽ることにもつながります。
結果としてレッドブルの宣伝カーは、見かけたユーザーがSNSなどに取り上げることで注目度を高め、ブランディングとして効果につながっています。
② ユーザー参加型のサンプリング
レッドブルでは、先ほどの宣伝カーとあわせて商品のサンプリングも行っています。
このサンプリングの配布は、各種イベント会場だけでなく街頭で実施するケースもあります。
レッドブルでは、サンプリングに際して専用のコンパニオンが応対しています。
コンパニオンは、缶を手渡す際に「プルトップ(ふた)を開けましょうか?」と声掛けを行い、自然とユーザーとのコミュニケーションを取るように心がけています。
また、レッドブルがモチーフの指輪などを見せ、ユーザーにレッドブルというエナジードリンクがあることを認知させる行動も行っています。
このように、ただ商品のサンプルを配るだけでなく、サンプリングとともにユーザーとコミュニケーションを取り、商品をユーザーの記憶に刷り込ませる行動が認知度拡大につながっています。
③ 口コミやSNSの積極的な活用
レッドブルでは口コミやSNSの活用にも力を入れています。
先ほどの宣伝カーをユーザーがSNSで投稿する動きも、口コミによる拡散性を意識したマーケティング戦略ともいえます。
そもそもレッドブルでは、エナジードリンクを栄養ドリンクではなく、パフォーマンスを高める飲み物としてブランディングしています。
このターゲットは若者が中心となり、そこに向けたプロモーションという意味で、マス広告よりもSNSに注力しています。
特に、拡散性の高いX(旧Twitter)では、様々なシーンでレッドブルとともに投稿するケースも多く、レッドブルはエナジードリンクというカテゴリとともに認知度拡大につながっています。
④ エクストリームスポーツとの提携
また、レッドブルではブランディング強化の一つとして、エクストリームスポーツとの提携も行っています。
エクストリームスポーツとは、スノーボードやBMX、サーフィンなど危険さを伴いながらも過激さがウリのスポーツのことを指します。
一般的にメジャーとはいえないながらも、エクストリームスポーツという新たな競技のスポンサーを務めることで、ユーザーに対して先駆者という印象を与えることができます。
さらに、レッドブルではエクストリームスポーツの選手に対してバックアップも行っています。
近年では、エクストリームスポーツがオリンピックの種目となることも多く、初めて競技を見たり、選手を知ったユーザーに対して、自然とレッドブルのイメージも定着させることにもつながっています。
⑤ 独自イベントの開催
最後に、レッドブルでは独自のイベントも開催しています。
大きなイベントとしては、エアレースの世界大会が注目されています。
レッドブル・エアレースでは、高い飛行技術を持った世界中のパイロットが集まり、最高時速370kmのスピード感でタイムを競う大会です。
一般的に企業のマーケティング戦略を考えた場合、既にある大会に協賛するケースが多くなります。
これに対しレッドブルでは、自社のターゲット層にマッチした企画を一から開催することで、先駆者という印象と独自性・優位性の観点でブランディングに成功しています。
その他、クラブやバーなどと連携した音楽関連のイベントも積極的に開催しています。
イベント開催時にはレッドブルのサンプリングなどもあわせて行い、SNSなどと絡めることで認知度拡大につなげています。
まとめ
「翼を授ける」で有名なレッドブルは、自社の商品だけでなくエナジードリンクというカテゴリから認知させる施策を行い、ブランディングとして成功しています。
宣伝カーや街頭でのサンプリング、エクストリームスポーツとの提携など独自の施策も多くありますが、いずれも新たなマーケットの開拓と市場における優位性を確立する上で効果につながっています。
マーケティング戦略においてブランディングは重要な要素となります。
今回紹介したレッドブルの事例も参考に、自社のマーケティングに活かしていきましょう。