IT技術の発展やスマートフォンの普及、SNSの浸透などもあり、近年ではWebを中心とした広告需要が高まっています。
中でも、Web広告ではユーザーの性別や年齢、地域といった属性だけでなく、過去の購入履歴や対象ページの閲覧履歴など行動に対しても数値やデータをもとに可視化することが可能です。
このような広告手法は、ターゲティング広告と呼ばれています。Web広告では様々な観点や指標をもとにしたターゲティング広告が用意されています。
今回は、ターゲティング広告の基本的な仕組みから、種類やメリット、運用のコツなどについてポイントを中心に紹介していきます。
ターゲティング広告とは?
ターゲティング広告は、Web広告の一種で自社の商材やサービスに興味関心のありそうなユーザーをターゲットとして広告出稿します。
ターゲティング広告は、購入や申し込みといったコンバージョンにつなげやすくする手法となります。
ユーザー属性や行動をもとに数値やデータで細かく情報収集できるWeb広告では、自社の目的やターゲットに応じてアプローチすることで、コンバージョン効果を高めることが期待できます。
ターゲティング広告は、GoogleやYahoo!をはじめ、SNSなどでも展開することが可能で、媒体ごとにユーザーの特性が異なるため、媒体選定だけでもターゲットを絞ることができます。
ターゲティング広告の仕組み
インターネット上では、ユーザーの属性や行動をCookieと呼ばれる仕組みを活用して収集しています。
このCookieは、ユーザーが対象のホームページを訪れるごとに発行・保存され、サーバーを介して広告配信に活用することが可能です。
そのため、個人情報などが収集・漏洩されるわけではありませんが、行動履歴から属性を把握することができるため、より精度の高いアプローチに繋げることが可能となります。
ただ、近年ではこのCookieに対して法規制が厳しくなる動きもあります。
プライバシー保護の観点から、総務省もCookieの規制に向けた動きを公表しており、今後はCookieをもとにしたターゲティング広告は難しくなる可能性もあります。
ターゲティング広告を活用するメリット
続いて、ターゲティング広告を活用するメリットについて紹介していきます。
① コンバージョン獲得の増加
ターゲティング広告は、自社のターゲットとなるユーザーに対してピンポイントにアプローチすることが可能です。
興味関心度の高いユーザーに訴求すれば、不特定多数に広くアプローチするよりも、当然ながらコンバージョン獲得につながりやすくなります。
自社の商品やサービスに関連するページをよく訪れているユーザーは、何かしら商品やサービスに興味を示していることが想定できます。
このようなユーザーに広告訴求できれば、購入や申し込みといったコンバージョンにも繋がる可能性も高まります。
② 広告の費用対効果の改善
ターゲットを明確化し、興味関心度の高いユーザーに注力して広告配信できれば、無駄な露出やコストを抑え、広告の費用対効果を高めることも可能です。
広告出稿には当然ながらコストがかかります。予算が限られている場合には、できる限り効率的に広告出稿していく必要があります。
ターゲティング広告では、無駄な広告費を極力抑える効果が期待できるため、費用対効果を高める上で効果的です。
③ ユーザーのリピーターやファン化
ターゲティング広告は、ユーザーのリピーターやファン化に繋げる効果も期待できます。
過去に購入履歴のあるユーザーは、再度コンバージョン獲得に繋がる可能性が高い傾向にあります。
そのため、ターゲティング広告を活用することで、アップセルやクロスセルに繋げることもできます。
ターゲティング広告を活用する上でのデメリット
ターゲティング広告には、メリットだけでなくデメリットも存在します。
これからターゲティング広告を検討している際には、以下の点はあらかじめ考慮しておくと効果的です。
① ユーザー側が不快に感じる場合もある
ターゲティング広告は、ターゲットとなるユーザーに対してアプローチする手法となりますが、一般的に同一ユーザーに何度も広告出稿することが多くなります。
同一期間に何度も広告が表示されることは、ユーザー側からすると不快に感じるケースも起こり得ます。
中には、繰り返し広告表示されることで企業自体の不信感に繋がる恐れもあります。
そのため、ターゲティング広告を実施する際には、繰り返し表示させる回数には注意が必要です。
② ある程度の広告運用における知識やノウハウが求められる
ターゲティング広告と一口に言っても、その種類は多岐に渡ります。
そのため、それぞれの手法を正しく理解し、自社の目的やターゲットをふまえ適切に運用していくことが求められます。
例えば、ターゲットを絞り込み過ぎてしまうと、広告を配信できる数が少なくなり、結果的に効果につながらないケースも起こり得ます。
そのため、どういったターゲットを対象にするのか、目的と合わせ設定していくことが重要です。
代表的なターゲティング広告の種類
次に、代表的なターゲティング広告の種類について紹介していきます。
デメリットでもふれたように、ターゲティング広告には様々な種類が存在するため、自社の目的をふまえ選定していくことが重要です。
① オーディエンスターゲティング
オーディエンスターゲティングとは、ユーザーの行動をもとに興味関心に関する情報を収集し、それをもとにターゲティングして広告出稿する手法です。
この収集には、Cookieやアプリの広告識別子、ブラウザの識別情報などのデータを活用し、ユーザーを識別しています。
また、オーディエンスターゲティングはさらに以下の種類に分類することが可能です。
・行動ターゲティング
対象ページの閲覧や過去の購買履歴などのユーザー行動をもとにターゲットを絞る手法です。
コンバージョンに至るユーザー行動を明確化し、同様の行動パターンに当てはまるユーザーを絞ることができます。
・サイトターゲティング
サイトターゲティングは、特定のサイトに絞った広告配信の方法です。
自社のページに訪れるユーザーが、指定のサイト経由が多いなどの特徴があるようであれば、そのサイトに特化し広告を出稿することで効率良く獲得がはかれます。
・類似ユーザーターゲティング
類似ユーザーターゲティングは、ターゲットとなるユーザーに類似したユーザーに対して広告出稿する方法です。
・属性ターゲティング
属性ターゲティングは、ユーザーの年齢や性別、地域などの属性をもとにターゲティングし、広告出稿する方法です。
自社の商品やサービスの特性をはじめ、顧客の属性が明確になっている場合には効果が期待できます。
② コンテンツターゲティング
コンテンツターゲティングは、ユーザーが閲覧したコンテンツに応じてターゲティングを行い、広告出稿する方法のことを指します。
サイト単位ではなく、コンテンツによってターゲティングできるため、興味関心度の高いユーザーにアプローチすることが可能です。
化粧品のコンテンツを閲覧しているユーザーは、何かしら化粧品を探していることが想定できます。
そのコンテンツが掲載されたページに広告訴求できれば、効率良く獲得に繋げることが出来るでしょう。
③ リターゲティング
自社のサイトに一度でも訪れたことのあるユーザーに対してアプローチできる広告手法です。
自社のページを訪れたユーザーは、多少なりとも自社の商材やサービスに興味があることが想定されます。
比較的どの媒体でもメニューとして用意されており、費用対効果を高めやすいことから、業種業態問わず多くの企業で活用されています。
④ デバイスターゲティング
デバイスターゲティングは、ユーザーのデバイスを指定することでターゲティングを行う広告手法です。
基本的にデバイスは、PCとスマートフォン、タブレットに分類されます。
BtoB関連のサービスであれば、ターゲットはPCを活用していることが想定されるため、広告もPCに特化した方が効果を期待できるでしょう。
また、デバイスターゲティングではデバイスと合わせOSなども重要になります。
PCであればMacなのかWindowsなのか、スマホであればAppleかAndroidかも選択可能です。
⑤ 位置情報(ジオ)ターゲティング
位置情報(ジオ)ターゲティングとは、ユーザーの位置情報をもとにターゲティングを行う広告手法です。
この位置情報は、ユーザーのIPアドレスやGPS、Wi-Fi、Bluetoothなどから収集されます。
エリアを特定したアプローチができれば、飲食店やエステ、美容院、ジムなどの店舗型ビジネスにおける来店促進などに活用することもできます。
⑥ 曜日・時間帯ターゲティング
曜日・時間帯ターゲティングは、その名の通り曜日や時間を指定したターゲティングです。
商材やサービスの特性をふまえ、タイミングを押さえたアプローチを行いましょう。
ターゲティング広告の効果を高めるコツ
最後に、ターゲティング広告の効果を高めるコツについて紹介していきます。
① 徹底した自社のターゲットの明確化
ターゲティング広告を実施したとしても、自社のターゲットがブレていれば効果にはつながりません。
運用効果を高めるためには、あらかじめ目的をふまえターゲットを明確化しておくことが重要です。
ターゲットを明確化するためには、STP分析やペルソナ分析などを活用すると効果的です。
② ABテストの活用
どれだけターゲットを細かく設定し、適切にアプローチしたとしても、ユーザー行動の多様化が進む昨今において全てが効果に繋がるとは限りません。
そのため、常にABテストを行いながら検証と改善につなげていくと効果的です。運用効果を高める上でも、定期的にブラッシュアップしていくことが重要です。
③ 認知を目的としたアプローチも重要
ターゲティング広告は、精度を高めることでコンバージョン獲得や費用対効果の向上といった効果が期待できますが、一方でアプローチ先の数が減ることも考えられます。
そのため、コンバージョン獲得とは別に、認知を目的としたアプローチを行うことも重要です。
新規商品やサービスの場合には、まずユーザーに知ってもらう必要があります。
バランスを見ながらリーチ数を増やす施策も検討していくと効果的です。
まとめ
ユーザー属性や興味関心、過去の購入履歴や閲覧履歴といった行動をもとにターゲットを絞るターゲティング広告は、コンバージョン獲得だけでなく費用対効果を高める上でも効果が期待できます。
一般的に広告予算には限りがあるため、いかに無駄な露出やコストを抑え、効率よく売上増加や利益拡大につなげていくかは重要な課題となります。
今回紹介した内容も参考に、自社の目的やターゲットを明確化した上で、ターゲティング広告をもとに運用効果を高めていきましょう。