
広告運用において、
ユーザーの検索意図や状況に応じた適切な訴求を行うことは重要ですが、
手動で広告文を調整するのは限界があります。
Microsoft広告の広告カスタマイザは、
ユーザーの検索語句や地域などの条件に応じて広告文を動的に変更できる機能です。
本記事では、
基本的な仕組みから具体的な設定方法まで詳しく解説します。
1. 広告カスタマイザとは?
従来の静的な広告は、
すべてのユーザーに対して同じメッセージ(広告文)を配信するものですが、
広告カスタマイザを利用すると
ユーザーの検索キーワードや地域などの条件に応じて、広告文を動的に変更
することができます。
例えば、
ショッピングサイトの広告で商品によって異なる割引率や価格をアピールしたい場合、
下記のような広告を動的に配信することができます。
「テレビ」関連のキーワードを検索したユーザーには上部の「テレビなら~」という広告を、
「冷蔵庫」関連のキーワードを検索したユーザーには下部の「冷蔵庫なら~」という広告を
表示することが可能です。
Microsoft広告においてこの機能を活用することで、
より個別化された広告配信が可能となり、ユーザーの検索意図に適した訴求
が出来るようになります。
ユーザーの検索行動に応じて広告文を自動で最適化できるため、
手動での更新作業が不要になり、運用効率とパフォーマンスの向上が期待できます。
2. Microsoft広告で広告カスタマイザが使える広告タイプ
Microsoft広告では、
「レスポンシブ検索広告」
「マルチメディア広告」
で広告カスタマイザの利用が可能です。
※画像引用(出典:Microsoft 広告の広告カスタマイザについて 2025年6月閲覧)
2-1. レスポンシブ検索広告
※画像引用(出典:Microsoft Microsoft 検索広告 2025年6月閲覧)
レスポンシブ検索広告は、
1つの広告内で、以下を設定できます。
- 3~15個の見出し (タイトル)
- 2~4個の説明文
AIによって、
ユーザーの検索語句に最も関連性の高い見出しと説明文が組み合わされて
配信される広告です。
※参考:Microsoft レスポンシブ検索広告 2024年11月13日
2-2. マルチメディア広告
※画像引用(出典:Microsoft Microsoft 検索広告 2025年6月閲覧)
マルチメディア広告は、
検索結果ページの右側に表示される画像とテキストを組み合わせた広告です。
ユーザーの検索語句に応じて、
設定した見出し・説明文・画像・ロゴの中から、最適な組み合わせが配信されます。
※参考:Microsoft Multimedia ads 2025年6月閲覧
3. Microsoft広告の広告カスタマイザ設定方法
Microsoft広告で広告カスタマイザを設定するは手順は、下記となります。
①広告カスタマイザの情報を登録する
②広告カスタマイザを使用する広告文を設定する
それぞれ詳しく説明していきます。
3-1. 広告カスタマイザの情報を登録する
広告カスタマイザの情報を登録する方法は主に2つあります。
- 広告カスタマイザフィードを使用する方法
- 広告管理画面で直接設定する方法
以下よりそれぞれの方法を解説していきます。
広告カスタマイザフィードを使用する方法
広告カスタマイザフィードとは、
「どの状況で、どのような情報を表示させるか」
といったルールを記載した指示書のようなものです。
このフィードはファイル(csv、tsv、xlsx)で作成し、
広告管理画面上にアップロードします。
広告カスタマイザを活用する際にフィードを登録することで、
作成したフィードのルールに沿って広告文が動的に表示されるようになります。
※画像引用(出典:LINEヤフー アドカスタマイザーの効果的な活用方法 2022年3月9日)
具体的には下記のような属性を記載します。
- カスタム属性:広告に挿入する情報の種類(属性)
- ターゲティング属性:どのようなタイミングで情報を表示させるか
- 標準属性:デバイスやスケジュールなど詳細なターゲティング設定
※参考:Microsoft 広告カスタマイザ フィードについて 2025年6月閲覧
広告カスタマイザを使用して情報を登録する手順
① 広告管理画面左下の「ツール」を選択
②「インポートとその他の一括操作」を選択
③「ビジネスデータ」を選択
④「広告カスタマイザーの属性」を選択→「アップロード」をクリック
⑤「サンプルファイル」をクリック→広告カスタマイザフィードのテンプレートをダウンロード
⑥ 広告カスタマイザフィードを作成
Aでは、広告カスタマイザの「属性」を記載します。
- Attribute:カスタム属性の名前(それぞれユニークの名前である必要がある)
- Data type:カスタム属性で使用する文字形式(例:Text、Number、Percent、Price)
- Account value:アカウント単位の属性値(任意の項目でData Typeの形式に沿って入力)
Bでは、どのようなルールにするか「値」を記載します。
- Campaign:広告カスタマイザを使用するキャンペーン名
- Ad group:広告カスタマイザを使用する広告グループ名
- Keyword:広告カスタマイザを使用するキーワード
- Customizer:広告カスタマイザの内容
例えば、
バイト情報を広告として配信していてキーワードに応じて広告文を変化させたい時は
下記のようなフィードを作成します。
⑦ 広告カスタマイザフィードをアップロード
先ほどテンプレートをダウンロードした画面の「参照」をクリックし、
作成したフィード(ファイル)をアップロードします。
形式はcsv、tsv、xlsxのいずれかです。
⑧「アップロードしてプレビュー」で確認
→ 問題なければ「アップロードして適用」をクリック
※エラーが表示された場合、結果ファイルをダウンロードしてエラー理由に応じて修正しましょう。⑨ 広告カスタマイザフィードを
登録した該当のキャンペーン、広告グループ、キーワード単位で設定状況を確認
⑩ 確認したい単位の画面で「列」→「列の変更」をクリック⑪ 列の変更画面で
「広告カスタマイザーの属性」から該当の属性を選択 → 列に追加し適用
以上の手順で、確認が可能です。
広告管理画面で直接設定する方法
次に、広告カスタマイザフィードを使用せず直接情報を登録する方法を紹介します。
① 広告管理画面左下の「ツール」を選択
②「インポートとその他の一括操作」を選択
③「ビジネスデータ」を選択
④ 広告カスタマイザ属性の「属性の追加」をクリック⑤ 各項目を埋めて、属性を追加
⑥ 広告カスタマイザフィードを設定したい該当の
キャンペーン・広告グループ・キーワード単位でどのようなルールにするか「値」を設定
⓻ 設定したい単位(キャンペーン、広告グループ、キーワード)の画面で
「列」→「列の変更」をクリック
⑧ 列の変更画面で「広告カスタマイザーの属性」から該当の属性を選択
→「選択する」をクリック⑨ 設定したい単位(キャンペーン、広告グループ、キーワード)の画面で
追加した属性列上をクリック
→「カスタム値を使用する」を選択し、内容を入力し保存をクリック
以上の手順で、確認が可能です。
こちらの画面はキーワード単位で値を設定しているイメージです。
また、実際の表示と異なる場合があります。
3-2. 広告カスタマイザを使用する広告文を設定する
広告カスタマイザを広告文に挿入するには、
専用の構文を使用して広告の見出しや説明文を作成します。
基本的な構文は
「 {CUSTOMIZER.属性名:既定のテキスト} 」
の形式です。
① 設定するキャンペーン、広告グループを選択
→「広告と表示オプション」から広告の「作成」をクリック
② 挿入したい広告見出しや説明文の設定欄で「{」を入力
→「広告カスタマイザ」をクリック。
③「属性」では登録した広告カスタマイザの情報(カスタム属性名)を選択
→「既定のテキスト」では設定した広告カスタマイザが表示できない場合に
表示させるテキストを入力
→「設定」をクリック
「既定のテキスト」が表示されるケースとしては下記のような場合が考えられます。
- 設定した広告文(広告見出しや説明文)の文字数が規定より超えている時
- 広告カスタマイザの情報(フィードなど)が正しく登録されていない時 など
④ 広告カスタマイザの設定後は、残りの項目を埋めることで広告を作成し設定が完了
4. Google広告からのインポートも可能
Microsoft広告では、
Google広告で設定済みの広告カスタマイザフィードをインポートする機能があります。
ただし、
Google広告で作成した広告文そのものはインポートされない可能性
があります。
その場合は、
広告カスタマイザを使用する広告文をMicrosoft広告側で新たに作成する必要
があります。
また、
広告カスタマイザフィードのインポートはアカウント単位になります。
※参考:Microsoft What gets imported from Google Ads 2025年6月閲覧
5. まとめ
Microsoft広告の広告カスタマイザは、
ユーザーの検索行動に合わせて動的な広告配信を行う際に便利な機能です。
ユーザーの検索状況に応じて最適化された広告文の自動配信により、
手動での作業負荷の軽減とパフォーマンスの向上が期待できます。
設定はやや複雑ですが、
フィードを活用した一括設定と管理画面での直接設定の両方に対応し、
Google広告からのインポート機能も提供されているため、
既存の運用体制に合わせた柔軟な導入が可能です。
広告カスタマイザを効果的に活用することでターゲットに最適化された広告配信を可能にし、
Microsoft広告でのパフォーマンスの向上を目指しましょう。