通信に欠かせないIPアドレスという識別番号がありますが、どのような役割を演じ、どのような種類があり、どのような構造になっているかなどを解説します。
また、IPアドレスから個人が特定できるのかやIPアドレスの枯渇などの問題も取り上げます。
パソコンでもスマホでもプリンターでも、ネットワークにつながっている通信機器では重要な役割を果たすIPアドレスを解説していきます。
IPアドレスとは?IPアドレスの役割について
IPアドレスとは、パソコンやスマホなどネットワーク上に接続された機器に割り当てられた識別番号です。ネットワーク上の住所ともいえます。
インターネットでページを閲覧する、メールを送受信するなどの場合は、送信元と送信先の識別ができないといけないのですが、その役割を果たすのがIPアドレスです。
IPアドレスの確認方法
インターネット上の識別番号であるIPアドレスをどのように確認するのかを解説します。
グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレス(それぞれの特徴は後ほど解説します)ごとの確認方法を見てみます。
グローバルIPアドレスの確認方法
グルーバルIPアドレスの確認方法はいくつかありますが、まずコマンドプロンプトやWindows PowerShell、ターミナルで確認する方法があります。
「nslookup」と入力すると、グローバルIPアドレスが表示されます。
次にCMANというウェブサイトがあり、簡単にグローバルIPアドレスの確認が可能です。
アクセスするだけで表示されます。
確認くんというウェブサイトでも、アクセスするだけでグローバルIPアドレスが表示されます。
スマホのAndroidの場合は、モバイルデータ通信時にグローバルIPアドレスが表示されます。
確認方法は「設定」から「デバイス情報(端末情報)」をタップし、「全ての仕様」「デバイスの状態」へと進み、「IPアドレス」の項目で確認してください。
iPhoneの場合は、モバイルデータ通信時のグローバルIPアドレスを確認する方法はないので、上記のウェブサイトを利用して、確認するといいでしょう。
プライベートIPアドレスの確認方法
続いて、プライベートIPアドレスの確認方法を見てみましょう。
Windowsでは、コマンドプロンプトやPowershellに「ipconfig」と入力すると、プライベートIPアドレスが表示されます。
Macでは、リンゴマークをクリックして、「システム環境設定」から「ネットワーク」を選択すると、表示されます。
次にスマホのAndroidでの確認方法です。Wi-Fi通信時に確認できる方法になりますが、グローバルIPアドレスで示したのと同じ方法になります。
iPhoneの場合は、「設定」から「Wi-Fi」へと進み、現在使用しているWi-Fi名を選択してください。
「IPv4アドレス」欄の「IPアドレス」に表示されているものがプライベートIPアドレスになります。
IPアドレスの種類
IPアドレスにはいくつかの種類があります。種類ごとの特徴を紹介しましょう。
用途による分類
まず、IPアドレスは用途によって種類が分類されます。すでに取り上げたグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスです。それぞれの違いを見てみましょう。
グローバルIP
グローバルIPアドレスは、グローバル(世界)に一つしかないIPアドレスです。
パソコンやルーターが接続した際に、他の通信とかぶらないように一つだけ割り振られます。
プライベートIP
プライベートIPアドレスは、プライベート、つまり自宅や会社内など特定のネットワークの中で用いられるIPアドレスです。
そのネットワーク内だけの識別に用いられることから、他のネットワークで同じ番号が使われている可能性があります。グローバルIPアドレスとは違い、世界に一つだけということはありません。
接続の方法による分類
次に接続の方法によってIPアドレスの種類が分類されています。
固定IPアドレスと動的IPアドレスです。それぞれの特徴を見てみましょう。
固定IPアドレス
固定IPアドレスとは、プロバイダーから割り振られたIPアドレスが固定したまま、つまりずっと変わらないIPアドレスです。
固定IPアドレスは、外部からアクセスする際には絶対に必要となるIPアドレスです。
例えば、ウェブサイトにアクセスする場合、その都度IPアドレスが変わってしまうと、アクセスできなくなります。
ファイルサーバーにアクセスして、外出先からファイルを取り出そうとする際も、IPアドレスが変わってしまうと、取り出せなくなります。
このようなときのために固定IPアドレスを使用するのです。
動的IPアドレス
動的IPアドレスは接続するたびに変化するIPアドレスです。
動的IPアドレスは固定IPアドレスに比べると安価に取得できること、個々のデバイスの特定や識別が難しくなり、リスクが低いなどのメリットがあります。
形式による分類
形式によってもIPアドレスの種類が分類されます。IPv4とIPv6です。
IPv4
IPv4では、IPアドレスを32個のビット数(=2進法の数字を32個)で表示します。ということは、2の32乗で約43億個のIPアドレスを使えることになります。
IPv6
IPv6では、IPアドレスを128個のビット数で表示します。つまり、2の128乗で約340澗個(潤とは、10の36乗、あるいは1兆×1兆×1兆のこと)のIPアドレスを使えることになります。
IPv4とIPV6で使えるIPアドレスの個数が大きく異なりますが、この点については後ほど解説します。
IPアドレスの構造
IPアドレスの構造がどうなっているか見てみましょう。
主な構造としては識別部分とクラスがあります。
識別部分
IPアドレスはコンピューターでは2進数で表され、前半をネットワーク部、後半をホスト部といいます。
ネットワーク部は対象のIPアドレスが属しているネットワークを識別する番号です。
ホスト部はネットワーク内のコンピューターを識別する番号です。
クラス
IPアドレスのクラスとは、ネットワークを構成するコンピューターの台数に応じて割り振られる番号のことです。
クラスはA~Eまでの5種類ありますが、通常はA~Cまでが用いられます。
クラス別の用途と最大台数は下記のとおりです。
IPアドレスから得られる情報
IPアドレスはネットワーク上の住所に当たる場所になるので、個人情報が漏れるのではと心配される方もいるでしょう。
そこでIPアドレスからどのような情報が取得できるのかを確認してみます。
IPアドレスから個人は特定できるのか?
IPアドレスから個人が特定できれば大きな問題になりますが、そのようなことはありません。
特定できるのは契約しているインターネットサービスプロバイダー(ISP)や通信事業者などです。
ISPや通信事業者が特定されても、個人情報の開示はしませんから、個人が特定されることはありません。
ISPや通信事業者が個人情報を開示するのは裁判所による開示命令があったときだけです。
IPアドレスの枯渇問題について
IPアドレスには枯渇問題があります。どのような問題で、どう対処されるのかを解説しましょう。
IPv4からIPv6へ
すでに説明したIPv4では2の32乗で約43億個のIPアドレスを使えますが、スマホやIoT機器の急速な普及により、この数では不足することになってきました。
これがIPアドレスの枯渇問題です。
そこで登場したのがIPv6です。
IPv6では、2の128乗で約340澗個のIPアドレスを使えます。
想像もできないような数ですが、事実上無制限といってもいいでしょう。
これでIPアドレスの枯渇問題も解決します。
ただし、IPv6を利用するには、ISPがIPv6を提供し、契約すること、ルーターも対応していることなどが必要です。
まとめ
いかがでしたか。
今回はIPアドレスについて解説しました。
私たちに身近な通信機器に使われるIPアドレスですが、実際にどういうものか知らなかった方も多いのではないでしょうか。
記事の内容がIPアドレスの理解に役立てば幸いです。