近年、効果的な手法として、ファンマーケティングという言葉をよく耳にします。
なんとなく意味についてわかっていても、メリットやポイントなど詳しい情報についてはよく知らない人もいるのではないでしょうか。
この記事では、ファンマーケティングの概要やメリット、成功ポイントなどについて解説していきます。
本記事を最後まで読むことで、どのような手法なのか理解を深めて、今後活用すべきなのか判断できるようになるでしょう。
1.ファンマーケティングとは
ファンマーケティングは、簡単に言えば自社を支持してくれる人を世の中に増やし、中長期的に売上拡大を目指す手法のことです。
企業が抱える信条やブランドの目標などについて共感したユーザーを増加させることで、継続的な商品購入を促せます。
具体的な手法としては、サンプリングの提供や会員制のサービスを始めるなど、多くの方法が挙げられます。
近年ではSNSが発展したことで、多くの人が生活に取り入れているため、アカウントを通して情報提供を行い、ファンを増やしていくこともファンマーケティングの方法の一つです。
2.ファンマーケティングのメリット
ファンマーケティングには、具体的に以下3つのメリットが存在します。
- 広告費を削減し、SNSや口コミから新規顧客の獲得ができる
- 安定した収益の基盤となる
- 良質なフィードバックが受けられる
それぞれ解説していきます。
2−1.広告費を削減し、SNSや口コミから新規顧客の獲得ができる
新規顧客を獲得する場合、広告を展開して認知を広げることが代表的な手法です。
マスメディアやWeb広告など多数の手法・掲載面が存在しますが、効果を上げるためには一定数の費用が必要になります。
ファンマーケティングでは、無料で開設できるSNSを活用して情報提供を行えるため、広告費を削減可能です。
担当者が定期的に良質な投稿をし、消費者の興味関心を惹きつけることで、顧客獲得も目指せます。
2−2.安定した収益の基盤となる
企業の理念やブランドに興味を持ったファンは、同じ会社の商品を継続的に購入するようになります。
実際、PCや服など、商品を購入する際に決まったメーカーの物を買う人も多いのではないでしょうか。
イタリアの経済学者であるヴィルフレド・パレートが提唱したパレートの法則によると、顧客全体のうち、2割の優良顧客によって売り上げの8割が占められているといわれています。
新規顧客を獲得し続け、売り上げを維持することも大切ですが、会社の利益を守るためにはファンマーケティングで優良顧客を作ることも大切です。
2−3.良質なフィードバックが受けられる
ファンになった優良顧客は、好きな商品・ブランドのために改善ポイントを指摘してくれます。
アンケートにも積極的に答えてくれる可能性が高いため、社内では気づけないようなポイントも再確認できるでしょう。
ファンからの指摘ポイントを考慮して顧客目線のマーケティングを実施していければ、さらに有料顧客を増やすことも可能です。
3.ファンマーケティングのデメリット
ファンマーケティングには、メリットだけでなく以下のようなデメリットも存在します。
- 炎上のリスクがある
- 戦略立案から効果が出るまで時間がかかる
それぞれ確認していきましょう。
3−1.炎上のリスクがある
ファンマーケティングは、広告やSEOなどの手法より、顧客と密に接点を持つ必要があります。
コミュニケーションを生むことで興味を持ってもらわなければいけないため、注意しないと炎上に発展する可能性もあります。
特に、SNSを活用する際は、投稿内容の表現などに注意しておくことが大切です。
3−2.戦略立案から効果が出るまで時間がかかる
リスティング広告やSNS広告などの場合、高いターゲティング精度を活かすことで配信してからすぐに成果が出ることもあります。
しかし、ファンマーケティングでユーザーから興味を持ってもらうためには、定期的な発信を続けなければいけません。
どのターゲットを意識するのか、どのような情報を流すのかも考える必要があるため、戦略立案から効果が出るまで時間がかかります。
即効性を求めている場合は、Web広告など他の手法と並行しながら導入してみることも検討してみましょう。
4.ファンマーケティングの成功ポイントとは?
ファンマーケティングを成功させるためには、以下5つのポイントを留意することが大切です。
- ファン層を明確にする
- ファンと密なコミュニケーションを図る
- ファンが集まるコミュニティを作る
- SNSを活用する
- ファンが興味を持つ企画を行う
効果的な施策を実施できるように、それぞれ確認していきましょう。
4−1.ファン層を明確にする
ファンマーケティングにおけるファンは、自社について興味を持ち、信条や理念に共感してくれる人たちのことです。
大きな売り上げを発生させてくれる人たちだけでなく、自社について肯定的な意見を述べてくれた人もファンと定義することができます。
売り上げという量の面だけでファンを考えるのではなく、数値では測れない定性的な人物像もターゲットとすることがおすすめです。
チャンスを逃さないためにも、ファン層について明確にしてからマーケティングを行いましょう。
4−2.ファンと密なコミュニケーションを図る
ファンと密なコミュニケーションを図ることで、より長い目線で興味を持ってもらえます。
SNSで情報発信や拡散をしてくれたユーザーを探し、投稿に対して「いいね」やリツイートなどで反応してあげましょう。
ユーザーとしても、好きな商品・ブランドの公式SNSアカウントから反応があれば、もっと投稿を続けようと思ってくれるはずです。
4−3.ファンが集まるコミュニティを作る
ファンマーケティングでは、ファン同士のコミュニケーションを促進させることも大切です。
同じものが好きな人同士が集まれば、新商品の情報提供などを積極的に行って拡散してくれます。
コミュニティサイトや会員制のサービスなどを展開し、ファンが集まれる場を提供してあげましょう。
4−4.SNSを活用する
ファンマーケティングを行う際、特に有効活用されるのがTwitterやInstagramなどのSNSです。
情報発信やコミュニケーションなど、お金をかけずに実施できるため、積極的に利用することが推奨されます。
SNSによって使用しているユーザー層が異なるため、ターゲットに合わせて媒体を選択しましょう。
4−5.ファンが興味を持つ企画を行う
ファンマーケティングで優良顧客を増やした後、継続的に興味を持ってもらうためには企画に注力する必要があります。
ファンがワクワクする企画としては、新商品の展示会やテスター配布などが代表的です。
業界によっては、商品を用意してコンテストを開催することも考えられます。
5.ファンマーケティングの成功事例
ファンマーケティングの成功事例としては、以下2つが挙げられます。
- 株式会社MAPPA
- スターバックス
成功事例からどのような方法があるのか把握しておきましょう。
5−1.株式会社MAPPA
株式会社MAPPAは「この世界の片隅に」の劇場版アニメ化を目指すために、クラウドファンディングを活用しました。
作品への熱意やコンテンツの情報を掲載することでファンを魅了し、共感や信頼を得ることに成功しています。
また、制作支援メンバーとしてミーティングの参加権利も用意したことで、限定感を演出し、作品に愛着を持ってもらえる工夫を施しました。
最終的に、株式会社MAPPAは制作のための資金を約3,900万円調達することに成功しています。
5−2.スターバックス
スターバックスは広告費をかけずにファンを獲得し続けていることで有名です。
サードプレイスとしてくつろげる空間と美味しいコーヒーを提供し、継続的に利用するユーザーを増やしています。
定期的に期間限定のイベントも行うことで、ユーザーのワクワク感を絶えず高めていることも人気の理由でしょう。
また、2008年には「Starbucks Idea」と呼ばれるコミュニティサイトを設立し、ユーザーからの生の声を受け入れたことで、業績改善に成功しています。
6.まとめ
いかがでしたか?
ファンマーケティングは自社に魅力を感じるユーザーを増やすための施策のことです。
広告費を削減したり安定した収益を生むことができたりするため、メリットが多くあります。
しかし、効果が出るまで時間がかかることや、炎上のリスクが少なからずあることがデメリットとして挙げられるので注意が必要です。
ファンを増やした後も、継続的に楽しませるための工夫を行うように心がけましょう。