スマートフォンの普及に伴い、よりユーザーの利便性を高め、コンバージョン獲得につなげるため、自社のアプリケーションをマーケティングに活用する企業が増加傾向にあります。
アプリをユーザーにダウンロードしてもらえば、アプリ経由で情報発信を行うことで購入を促したり、都度のコミュニケーションを容易に図ることも可能になります。
ただ、ユーザーにアプリを誘導するためには、自社のWebサイトなどからリンクさせる必要があります。
このようなWebサイトとアプリを横断するリンクはディープリンクと呼ばれ、設定することでユーザーをスムーズにアプリへ導くことができます。
とはいえ、ディープリンク荷も様々な種類や手法が存在するため、目的に応じて適切に設定することが重要です。
そこで今回は、ディープリンクの基本的な概要から仕組み、メリットなどについてポイントを中心に紹介していきます。
ディープリンクとは?
ディープリンク(Deep Link)とは、アプリケーション内のコンテンツに遷移させるリンクのことを指します。
近年のスマートフォンの普及に伴い、アプリケーションをもとに情報収集やコミュニケーションを図る動きが加速化しています。
とはいえ、以前はWebサイトなどからアプリへ直接リンクさせることはできず、GoogleやAppleのアプリダウンロードページを介す必要がありました。
一度ダウンロードページを介すことは、ユーザビリティ的にも離脱を生み、機会損失につながるケースが多くなります。
これに対し、現在ではディープリンクを活用することで、直接アプリ内のコンテンツにユーザーを遷移させることが可能になり、よりスムーズな導線設計によって認知度拡大やコンバージョン獲得につなげることができるようになりました。
その結果、Webサイトからアプリだけでなくアプリ同士の連携も図れるようになり、マーケティングの運用効果を高めることが期待できます。
ディープリンクの仕組み
続いて、ディープリンクの仕組みについて紹介していきます。
基本的にアプリケーションは独自のプログラムで運用していくため、Webサイトや他のアプリ間での遷移を行うことはできません。
それゆえに、従来のように一度GoogleやAppleのアプリダウンロードページへ自動的に遷移されてしまう傾向にありましたが、近年ではプラットフォーム側の発達に伴い、ディープリンクによって遷移できるようになりました。
ディープリンクでは、URLを構成するスキームやホスト、パスなどを識別することで、Webサイトとアプリを横断した遷移が可能になります。
その手法は主に以下の2つの技術を活用しています。
Custom URL Scheme
Custom URL Schemeは、アプリケーション内の特定のコンテンツにおいて、指定のリンクを提供することでURLから該当するアプリケーションを呼び出す仕組みのことを指します。
アプリに紐づけられたリンクをクリックすることで、対象となるアプリの起動許可を確認するダイアログが現れ、ユーザーを遷移させることができます。
ただ、Custom URL Schemeによるディープリンクには、あらかじめ対象となるアプリをユーザーがインストールしている必要があります。
そのため、インストールされていない場合にはダウンロードサイトにリンクされたり、何も反応しないケースもあるため注意が必要です。
Universal Links
Universal Linksは、既に存在しているURLとアプリケーションを紐づけリンクさせる仕組みのことを指します。
Custom URL Schemeとは違って、アプリの起動に際して特にダイアログが出てくることはなく、そのまま起動させることが可能です。
ただ、アプリをインストールしていない場合には、URLによって指定されているページやコンテンツに遷移されるため、こちらも注意が必要です。
ディープリンクの重要性
スマートフォンの普及とともにアプリケーション技術も発展し、業種業態問わず様々なアプリが存在しています。
中でも、目的やユーザーニーズなどによってアプリを分解して展開するケースも多く、Webサイトとアプリの横断だけでなくアプリ間での連携も求められます。
例えば、Facebookでは通常の投稿とは別にユーザー間でのコミュニケーションツールとしてMessengerというサービスも展開しています。
このMessengerというアプリはFacebookアプリとは別に展開されており、それぞれディープリンクによって横連携が図られています。
このようなアプリケーション需要の高まりにより、Webサイトとアプリ、アプリ間での連携を図るためディープリンクが重要な意味を持つようになりました。
ディープリンクの代表的な種類
続いて、ディープリンクの代表的な種類について紹介していきます。
ディープリンクと一口にいっても、その種類は大きく以下の3つに分類できます。
① ディープリンク(デフォルトタイプ)
一般的なディープリンクは、対象のアプリをインストール済みであることが前提にあり、そのユーザーに対しWebサイトとアプリを横断できる仕様となります。
既存顧客に対しアプリとの連携を図ることで、コミュニケーションを活性化させ、リピーターやファン化につなげる効果が期待できます。
また、アプリをインストールしたものの休眠しているようなユーザーを呼び起こし、コンバージョン獲得につなげる効果も期待できます。
② ディファードディープリンク
ディファードディープリンクは、まだ対象のアプリをインストールしていないユーザーに対して、GoogleやAppleのダウンロードページを介してアプリ利用を促すディープリンクの手法となります。
インストール後には指定のコンテンツページに誘導することができるため、会員登録や見込み顧客化につなげる効果が期待できます。
一方で、インストールしなければ直接コンテンツを見ることができないため、ダウンロードページで離脱してしまう可能性も起こり得るため注意が必要です。
③ コンテクスチュアルディープリンク
コンテクスチュアルディープリンクは、通常のディープリンクに加え、ユーザー単位で表示させるコンテンツを分ける手法となります。
リンク先のWebページやチャネルなどに応じてパラメータを付与することでターゲットに応じたアプローチが可能となります。
このディープリンクを活用すれば、ユーザー別におすすめのアプリコンテンツを表示させたり、企画やイベント、キャンペーンなどと絡めた展開を行い、運用効果を高めることが期待できます。
ディープリンクを活用するメリット
次に、ディープリンクを活用するメリットについて紹介していきます。
ディープリンクを活用し、Webサイトとアプリを横断させることで以下のような効果が期待できます。
① ユーザーの利便性の向上
先ほどからふれているように、スマートフォンは日々の情報収集に欠かせないツールとなっています。
ユーザーニーズに応じて様々なアプリが登場している昨今においては、Webサイトとアプリを連動させることはマーケティングにおいても重要です。
その中において、毎回Webサイトとアプリを行き来するにあたってホーム画面を介しているようでは、ユーザーもストレスを感じ、離脱を増やす結果になりかねません。
これに対しディープリンクを活用すれば、Webサイトとアプリ、またはアプリ間での遷移をスムーズにさせることでユーザーの利便性向上につなげることが可能になります。
② コンバージョン獲得に伴う売上増加や利益拡大
ディープリンクを活用したWebサイトとアプリの連携強化は、コンバージョン獲得率の向上に伴う売上増加や利益拡大という点でも効果が期待できます。
ユーザーが自社のアプリをインストールするということは、会員登録などと同じく見込み顧客として囲うことにもつながります。
そのユーザーに対して新商品やキャンペーンなどの情報発信を行えば、アプリからのコンバージョン獲得につなげることも可能になります。
また、アプリ上でコミュニケーションの活性化を図れば、既存顧客やファン化につなげることで、アップセルやクロスセルに導く効果も期待できます。
このように、汎用性が高いアプリケーションをWebサイトと絡めることで、売上増加や利益拡大につなげることも可能です。
ディープリンクのプラットフォーム別事例
最後に、ディープリンクのプラットフォーム別事例について紹介していきます。
ディープリンクは、既に様々なプラットフォームでも展開されています。
中でも代表的な事例について紹介していきます。
① Google
Googleでは、AppIndexingというディープリンクを活用しています。
このAppIndexingによってWebサイトとアプリを紐づけることができ、Google検索における結果画面にアプリの情報を表示させることも可能です。
なお、アプリをインストールしていないユーザーに向けてはGoogle Playストアに誘導することで、スムーズなダウンロードを促しています。
また、Googleではディープリンクを活用し、リスティング広告としても直接アプリへ遷移させることも可能です。
② Apple
Appleでは、仕組みでもふれたUniversal Linksというディープリンクを活用しています。
これによって、Webサイト内の検索結果からアプリケーションへと簡単に遷移させることが可能です。
インストールの有無によって遷移先を指定することができるため、ユーザビリティだけでなく運用する企業側にとっても管理しやすい特徴があります。
③ Facebook
Facebookでは、App Linksというディープリンクを活用しています。
App LinksではFacebookでの投稿に活用することで、指定するアプリへスムーズに遷移させることが可能になります。
例えば、企業用のFacebookアカウントをマーケティングとして活用している場合、App Linksによってアプリと連動を図ることができるため、運用効果を高めることが期待できます。
④ X(旧Twitter)
X(旧Twitter)では、Twitter Cardsというディープリンクを活用しています。
こちらもFacebookと同じく投稿に活用することで、指定するアプリへスムーズに遷移させることができます。
また、Twitter CardsをもとにURL付きのツイートを行うと、対象のURLにおける概要や画像などの情報をツイート内に自動で表示させることも可能です。
まとめ
スマートフォンやアプリケーションの普及が進む昨今において、Webサイトとアプリ、もしくはアプリ間を横断したマーケティングは重要です。
双方の連携を強化すれば、多様化するユーザーニーズにもマッチさせ、離脱や機会損失を防ぎ、認知度拡大やコンバージョン獲得につなげることも可能になります。
ディープリンクは、この連携において効果的な手法です。
今回紹介した内容も参考に、ディープリンクを活用して自社のマーケティング効果を高めていきましょう。