2023年1月にYahoo!の検索広告ではアップデートが行われ、オークションインサイトという機能が追加されました。
このオークションインサイトでは、これまでYahoo!の検索広告ではなかった競合他社の出稿状況に関して、数値をもとに確認できるようになりました。
競合他社の状況を把握することは、検索連動型広告の効果を高める上では欠かせません。
今回は、オークションインサイトの基本的な概要から効果的な使い方などについて、ポイントを中心に紹介していきます。
オークションインサイトとは?
オークションインサイトとは、Yahoo!の検索連動型広告において、2023年1月25日のアップデートによって追加された新機能です。
自社の広告出稿状況において、同じ広告オークションに参加している競合他社と表示率や入札状況などを数値で比較・確認することが可能です。
なお、Yahoo!の検索広告には新たにできた管理画面と旧バージョンが存在し、旧バージョンではオークションインサイトを確認することができます。
また、Google広告では既にオークションインサイトと同様の機能が用意されており、Yahoo!のオークションインサイトと同様に活用することが可能です。
このオークションインサイトにて比較できる項目は、表示URLのドメイン単位で対応でき、新しい広告管理ツールのキャンペーンや広告グループ、キーワードの各一覧画面から利用できます。
オークションインサイトにて確認できる指標
続いて、オークションインサイトにて確認できる指標について紹介していきます。
オークションインサイトでは、表示URLのドメイン単位で以下の指標をもとに競合他社と比較することが可能です。
①インプレッションシェア
インプレッションシェアとは、自社の広告が表示される可能性があった回数に対して、実際に表示された回数(インプレッション数)の割合のことを指します。
このインプレッションシェアが低い場合、対象のキーワードや広告グループなどにおいて競合他社が強く、自社の広告までユーザーの目にふれていない可能性が考えられます。
費用対効果を高める上で、まずは自社の広告がユーザーの目にふれなければ意味がありません。
対策としては、予算を上げるなど入札価格を強化したり、広告文やランディングページを見直し、品質スコアを高めることが挙げられますが、費用対効果を考慮する上では別のキーワードに戦略を切り替えることも効果的です。
②ページ上部での表示率
ページ上部での表示率は、ユーザーが対象キーワードで検索した際に、自社の広告が上部に表示された割合のことを指します。
Yahoo!に限らず、検索連動型広告はユーザーが検索した後の結果ページの下部や、次のページに遷移した際にも表示されます。
とはいえ、検索結果の上部の方がユーザーの目にふれやすく、クリックやその後のコンバージョンにもつながりやすくなります。
この上部の枠は基本的に3枠程度となり、競合他社が多ければその分だけ上部には表示されなくなります。
そのため、どのようなキーワードであれ、まずは検索結果の上部に表示させることが重要になります。
③ページ最上部での表示率
ページ最上部での表示率は、②のページ上部の中でも最上部に自社の広告が表示された割合のことを指します。
一般的に、情報を求める際に検索するようなキーワードであれば、ユーザーも検索結果画面を様々確認する傾向にありますが、緊急性の高い比較検討のタイミングであるとページ最上部の広告しかクリックしないこともあります。
このように、出稿するキーワードによってユーザー心理や行動は異なりますが、最上部に表示されればその分だけ効果につながる可能性も高まります。
④自社との重複した広告の表示率
自社との重複した広告の表示率とは、自社の広告と競合他社が同じキーワードで出稿していた場合に、同時に表示された割合のことを指します。
あくまで自社と競合他社との比較となるため、広告管理ツール上で自社の項目には何も表示されず、競合他社の重複割合のみ表示されます。
対象キーワードにおいて検索結果に表示される企業は、競合だけとは限りません。
とはいえ、ユーザーが検索した際には自社と比較されてしまうため、クリック率が低い場合には広告文の見直しを図ると効果的です。
⑤競合他社の広告の上位表示率
競合他社の広告の上位表示率は、その名の通り競合他社の広告が対象キーワードにおいて上位に表示された割合のことを指します。
この割合が高いということは、対象キーワードで競合他社が広告出稿を強化していることが考えられます。
日々ベンチマークしている企業があれば、この上位表示率によって競合他社の戦略を可視化することにもつながります。
季節性のある商材やキャンペーンの実施などがある場合には、定期的に確認した上で対策を講じていくと効果的です。
⑥自社の広告における優位表示率
自社の広告における優位表示率は、自社の広告が競合他社よりも上位に表示されたり、検索結果画面に自社の広告のみが表示された割合のことを指します。
通常、広告予算や入札価格を引き下げた場合、他社の広告が表示され、この優位表示率は下がる可能性があります。
一方で、何もしていないにもかかわらず優位表示率が上がった場合には、他社が広告出稿を控えた可能性も考えられます。
このような場合には、予算を増加して広告出稿を強化することで、優位表示率を更に高めることも期待できます。
そのため、⑤の競合他社の上位表示率と合わせ確認しておくと効果的です。
オークションインサイトで競合分析を行うメリット
続いて、オークションインサイトを活用し、競合分析を行うメリットについて紹介していきます。
オークションインサイトは、Yahoo!検索広告の効果を高める上では欠かせないツールとなります。
具体的に以下のようなメリットを受けることが期待できます。
①広告運用の効率化と効果の最大化
Web広告において、費用対効果を高めた運用を行うためには競合他社の情報は欠かせません。
オークションインサイトでは競合他社の運用状況について数値をもとに把握することができるため、広告運用の効率化と効果の最大化につなげることが可能です。
例えば、インプレッションシェアが低かったり、ページ上部での表示率が低いキーワードは、改善することで効果を高めることにもつながります。
優位表示率が高ければ、さらに強化することで効果の最大化も期待できます。
このような傾向が把握できなければ、闇雲に広告を出稿し続けるだけで無駄に終わってしまう可能性も起こり得ます。
その点、オークションインサイトをもとに競合他社を可視化できれば、問題点や改善策を明確にできるため、運用面でも効率化が期待できます。
②競合他社の戦略の可視化
オークションインサイトによって競合他社の広告の上位表示率が把握できれば、戦略を可視化することで、自社のマーケティングやプロモーション施策につなげることも可能です。
Yahoo!検索広告において、出稿するキーワードの選定は非常に重要になります。
競合他社がひしめくキーワードであれば、いくら自社の商材やサービスが優れていたとしても上位表示につながらない可能性もあります。
このような情報があらかじめ分かれば、違った側面から戦略を構築し、広告出稿することも可能になります。
このように、オークションインサイトによって競合他社の情報が把握できることは、無駄なコストや工数を極力削減し、費用対効果を高めた運用につなげることも期待できます。
オークションインサイトの確認方法
次に、オークションインサイトの確認方法について紹介していきます。
オークションインサイトは、新しいYahoo!の広告管理ツールから、キャンペーンや広告グループ、キーワードの3つの階層で確認することが可能です。
具体的な手順は以下の通りとなります。
①広告管理ツールの左側メニューから「キャンペーン」「広告グループ」「キーワード」のいずれかを選択
②分析したい項目を選択
③「オークションインサイトを表示」をクリック
これにより、対象のオークションインサイトを確認することが可能です。
オークションインサイトの活用イメージ
最後に、オークションインサイトの効果的な活用方法について紹介していきます。
オークションインサイトを効率的に活用するためには、以下の手法を参考にすると効果的です。
①入札単価の調整とクリック率の向上
Yahoo!の検索広告は、クリック課金型であるため、ユーザーにクリックされなければコストは発生しません。
とはいえ、コンバージョン効果を高めるためには、広告から適切にユーザーを自社の目的となるページに遷移させなければ意味がありません。
そこで重要になってくる手法が入札価格の調整とクリック率の向上です。
一般的に入札価格はなるべく低く、クリック率はなるべく高いことが成果につながるコツとなります。
そこで、オークションインサイトをもとに競合他社の傾向を把握し、入札単価を調整したり、広告文の見直しなどによってクリック率の向上を図ると効果的です。
②競合他社の実績を参考にする
新しく自社の商材やサービスに対して広告出稿したり、新たなキーワードを入札しようとした場合、ユーザー傾向が分からなければどういった広告文が響くのか分からないケースは少なくありません。
このような場合に、オークションインサイトを活用し競合他社の広告の上位表示率を参考にすれば、どういった広告文がユーザーに響くのか、ヒントを受けることができます。
まとめ
Yahoo!の検索広告にて23年1月から搭載されたオークションインサイトは、自社の広告出稿状況だけでなく競合他社の状況も数値で把握できるため、費用対効果を高めた運用につなげることが期待できます。
競合ひしめくキーワードなどにおいては、無理に戦わず、別の戦略を講じた方が効果につながる可能性もあります。
このような情報を把握できるオークションインサイトは、新機能として搭載されて以降、多くの企業で活用されています。
今回紹介した内容も参考に、オークションインサイトを効果的に活用し、自社の広告運用効果を高めていきましょう。