マーケティング領域においてAIを活用するケースは増加傾向にあります。
今回は、AIをマーケティングに活用する上で、基本的な概要から今後に向けた重要性、活用できる分野などについてポイントを中心に紹介していきます。
AIを活用したマーケティングとは?
そもそもマーケティングとは、自社の商材やサービスが売れる仕組みを作ることを指します。
商品開発に当たる市場調査や競合分析をはじめ、販売ルートの確保や営業活動、広告宣伝、販売促進、その後の効果測定や検証に至るすべてのプロセスがマーケティングに該当します。
AIを活用したマーケティングは、これら一連のマーケティング活動において、AI技術を活用して効率化や精度を高める施策のことを意味します。
例えば、市場調査や競合分析には、膨大なデータが求められます。
このようなビッグデータをもとに分析・解析するには、人間の力では限界もあり、AIを活用することで効率的にデータ化することが可能です。
また、広告宣伝や販売促進なども、AIを活用することでリアルタイムの状況に応じたアプローチが可能になり、費用対効果を高めることも期待できます。
AIを活用したマーケティングの重要性
企業におけるマーケティング活動は多岐に渡り、それぞれ数値やデータをもとに綿密な戦略を立てることが求められます。
その上で、AIを活用することで以下の効果が期待できます。
①ビッグデータの活用
数値やデータによる分析を効果的に運用していくためには、より多くの数値・データを活用することが重要です。
とはいえ、小規模の数値・データでは本質を見失い、間違った戦略や方向性につながる可能性も起こり得ます。
そのため、適正な判断を行うためにはある程度の数値・データが必要になりますが、一方でこのようなビッグデータは、数が増えれば増えるほど分析・解析に時間がかかり、手間やコストも発生します。
これが、AI技術を活用することで効率的に分析できるようになります。
分析・解析の手間をAIに任せることで、結果から戦略立案に人的リソースを掛けられるようになり、効果的なマーケティングにつなげることが可能になります。
②人的リソースの解消
先ほどふれたように、ビッグデータの活用に関わる人的リソースをAIによって解消できれば、人材不足にも対応することが可能になります。
マーケティングに関わる人材は、専門部署として確保できず、通常業務と兼業で行うケースも少なくありません。
このような場合には、毎回の分析や解析に多くの時間を割くことができず、中途半端な分析で終わるケースも多くあります。
とはいえ、分析はマーケティングの成功には欠かせず、次の施策や戦略を決める道標にもなり得ます。
そこで、AIをもとに分析を効率化できれば、人的リソースを解消し、コア業務に注力することも可能になります。
③マーケティング精度の向上
近年、ユーザー行動の多様化やブーム・トレンドといった流行の短期化に伴い、顧客一人ひとりに向けた適切なアプローチが重要になっています。
とはいえ、顧客単位でマーケティングを行うためには、システムの活用はもとより、データを複合的に組み合わせた戦略を取る必要があります。
これに対しAIを活用すれば、顧客単位のデータとプロモーション施策などを組み合わせることで、リアルタイムの状況に応じた最適なアプローチを行うことが可能になります。
ターゲットの明確化に伴い、1to1マーケティングが出来れば、費用対効果を高めた運用にもつなげることが期待できます。
このようなマーケティング精度の向上においても、AI技術の活用は効果的です。
AIを活用したマーケティングで効果が期待できる分野
AI技術は万能という訳ではなく、向き不向きも存在します。
特に以下の手法に関しては、AIはマーケティング効果を高めることが期待できます。
①大量のデータにおける分析・解析
マーケティング活動においては、様々なデータを分析・解析することが求められます。
この分析が、その後の戦略立てにもつながり、結果的にマーケティング活動の成功を導くカギにもなり得ます。
データ分析には、市場調査や競合分析といったものだけでなく、実施後の効果測定や検証など多岐に渡ります。
扱う数値も、属性や購入履歴といった顧客情報をはじめ、流入数や離脱率、コンバージョン数など様々存在し、これらは各施策やターゲットごとに解析する場合もあります。
このような大量のデータにおける分析・解析は、データどうしを結合したり、目的に応じて加工する場合もあり、人力では限界も生じます。
AI技術であれば、横断した分析・解析ができるため、大幅に業務効率化が期待できます。
②広告・プロモーション施策の最適化
近年、運用型Web広告の登場に伴い、目的やターゲットに応じて適切な広告訴求を行うことで、費用対効果を高めることが可能です。
とはいえ、広告効果を高めるためには細かな設定を行う必要があり、リアルタイムで調整していくことも求められます。
例えば、リスティング広告であれば、出稿キーワードに応じた広告文の表示や入札価格の調整など、リアルタイムで調整していく必要があります。
このような業務を全て人力で行うことは手間がかかり、非効率でもあります。
ただ、AIによって自動で最適化される仕組みを活用すれば、ユーザーに対して最適な広告アプローチを取ることができ、費用対効果を高めることも期待できます。
Google広告やFacebook広告をはじめ、多くの媒体側でもAIを活用した運用施策が用意されており、これらを活用することで、広告・プロモーション施策を最適化させることも可能です。
AIを活用したマーケティングの効果を高める上でのポイント
闇雲にAI技術を活用しても効果にはつながりません。
AIを活用したマーケティングの効果を高めるためには、以下の点を考慮しておく必要があります。
①AIにはある程度の学習する期間が必要
AI技術を導入したからといって、すぐに自社にとって最適なマーケティングに活用できるわけではありません。
AIには、ある程度の学習する期間が必要になります。
例えば、リスティング広告の運用にAI技術を活用した場合、出稿キーワードの最適な入札価格や適切な広告文の表示など、すぐにAIが判別できるわけではありません。
AI側でもテストを繰り返し、予算に応じて適切な価格や広告文を導くため、ある程度の期間は自社の状況を学習させる必要があります。
②AIに学習させる数値・データの最適化
AIは、どういった数値・データをどのように精査・取りまとめるのか、あらかじめ指定することで学習していきます。
そのため、より効率的且つ効果的に分析していくためには、AIに何を指定させるかが重要になります。
誤った情報を含んだり、間違った収集を指定すると、分析データの精度が下がるだけでなく、AIの学習自体にも影響を及ぼし十分なパフォーマンスを発揮できません。
また、対象の数値・データの精度が悪ければ、AIであっても適切な分析にはつながりません。
分析を行う数値・データは、あらかじめクレンジングなどを行い一定の精度まで高めておくと効果的です。
AIを活用したマーケティングの成功事例
これからAIを活用したマーケティングを検討している際には、以下の企業の事例を参考にすると効果的です。
①Netflixによる事例
世界190ヶ国以上で動画配信サービスを展開するNetflixは、AIを活用したマーケティングを実施しています。
Netflixでは1億2500万人以上の有料会員がおり、それぞれのユーザーがどのコンテンツをいつ何回、どのようなデバイスで視聴しているのかなど、AIを活用して分析しています。
この分析結果は、Netflix内でレコメンド機能に活用し、会員一人ひとりに適切なコンテンツを提供することで、ユーザビリティ向上につなげています。
また、分析結果はオリジナルコンテンツの制作にも活用し、ユーザーニーズにマッチしたコンテンツ提供にもつなげています。
②株式会社はるやまホールディングスの事例
スーツをはじめアパレル販売を行う株式会社はるやまホールディングスは、AIを活用して広告・プロモーション施策の最適化を行っています。
自社で抱える過去の顧客データに対してAIを活用してパーソナライズ化し、販促DMや送付先、折込チラシの部数などを最適化することにつなげています。
特に、お客様一人ひとりのクローンを作成することを目指し、AIのパーソナライズを活用することで、ユーザビリティ向上につなげることで、費用対効果を高めていきました。
③日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社の事例
外食チェーン店大手の日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社も、AIを活用したマーケティングを行っています。
ケンタッキーではマーケティングとして様々なSNSを活用しており、各SNSにおける口コミやハッシュタグ、属性、テキストマイニングなどをAIによって分析することで、話題性の継続を図りました。
どのような内容がいつ盛り上がっているのか、AI分析によって可視化することで、結果に応じた投稿内容を発信し、盛り上がりを加速化させ、認知度拡大やブランディング効果につなげています。
まとめ
AI技術の高まりに伴い、AIを自社のマーケティング活動に活かす企業も増えてきています。
AIは、特に大量のデータ分析や広告運用の最適化には高い効果が期待でき、マーケティングを成功につなげる上で欠かせない手法となってきています。
とはいえ、学習には期間を要したり、適切な数値・データが必要など、AIを活用するためには押さえておくべきポイントも存在します。
今回紹介した内容も参考に、AI技術を正しく理解し、自社のマーケティング活動に効果的に活用していきましょう。