問題の再発を防止するために、発生した事象の根本原因を徹底的に洗い出すための考え方です。
今回は、そんな問題解決の鍵となるなぜなぜ分析について、実践時に陥りやすい落とし穴とともにご紹介します!
1.なぜなぜ分析とは?
なぜを繰り返して問題を解決に導く、なぜなぜ分析。オリジネーターはあのトヨタ社だと言われています。
カイゼンを世界中に広めたトヨタ生産方式の一環として、 問題を発見したらなぜを5回繰り返す というものがあります。これは問題の再発を防止するために、発生した事象の根本原因を徹底的に洗い出すための考え方です。
画像参照:なぜなぜ分析は、危険だ
後にこれがフレームワーク化され、なぜなぜ分析と呼ばれるようになりました。
2.なぜなぜ分析の作成方法
「なぜを5回繰り返せば良いんでしょ、簡単じゃん」と油断していると、事象の改善に繋がる原因を発見するのが意外と難しかったりします。次の3つのステップにそれぞれ注意点が存在します。
2-1.事象を設定する
まず重要なのが分析対象とする事象を定義すること。様々なフレームワークでも言われることですが、取り上げる事象は具体的に定義しましょう。
例えば、ミスした、低い、悪いなどの抽象的な表現ではなく、何がどの程度どうなのかを定義しなければ、その後の中身のある分析には繋がりません。
【悪い例】
・取引先に送る資料をミスした
・先月の売上が目標よりも低かった
・チームの雰囲気が悪い
【良い例】
・取引先A社へメールで送る〇〇の資料の✕✕の部分に誤りがあった
・先月の売上が目標〇〇円に対して✕✕%下回った
・直近1年間でのチーム内退職率が全社平均より〇〇%高い
悪い例に共通して言えるのは、具体性が足りない点です。「何をどのようにミスしたのか」「目標よりどれくらい低かったのか」「雰囲気が悪いとはそもそもどういう状態なのか」などその後原因を掘り下げられるように定義しましょう。
2-2.改善可能な根本原因を突き止める
設定した事象の要因を挙げていきます。複数ある場合も漏れなく書き出していきましょう。
要因のリストアップ時には、単なる要素の羅列になっていないかを注意します。原因があったから事象が発生したという関係を保持し、論理的に要素分解を行います。
例:「アイスクリームで手が汚れた」を分析
この時、ただの連想ゲームにならないよう、問題の改善に繋がる行動まで落とし込むことを見越して原因を書き入れましょう。事象の要因となる要素を書き、その理由をまた要素として書く……これを繰り返して事象の根本原因を探り当てます。
2-3.解決策を設定する
「これこそが事象の原因だ!」と言える要素が揃ったら、それ(ら)の解決策を考えます。「それを実施することで本当に事象が解決されるのか」「属人的な解決策でないか」などを念頭に解決策を設定しましょう。
3.なぜなぜ分析のNG集
せっかく時間をかけて行ったなぜなぜ分析が、コツを押さえていないせいで的を得ない解決策しか書き出せなかったら、悲しいですよね。失敗しないために、NG集を具体例とともにご紹介します。
3-1.分析対象の事象が曖昧
先述のとおり、事象の定義の時点で解決したい問題が曖昧だとうまく深堀りができません。“何がどの程度どうなのか”を事象の発生から振り返り、分析をスタートします。
【悪い例】
・取引先に送る資料をミスした
【ポイント】
・取引先はどこ?
・送付方法は何?
・どこをどうミスした?
3-2.原因→結果の関係になっていない
左側の事象に対して、右側の要素が原因の体をなしていなければ、ただのブレインストーミングと同じになってしまい“問題の解決”という重要な方向性を見失ってしまいます。原因があったから事象が発生したという論理構造が崩れてしまうと本質的な原因にたどり着けません。
ひとつひとつの要素は慎重に書き出しましょう。条件に抜け漏れがないよう、MECEを意識するのも有効です。
★MECEに関する記事はこちらから!
【悪い例】
事象:メールの宛先を誤った - 要因:作業者は以前からミスが多かった
【ポイント】
普段の傾向は本事象には無関係であり、要因ではない
3-3.属人的な原因に回帰する
当社内では「人を疑う前に仕組みを疑え」という言葉が時折交わされます。
何らかのトラブル等が起きた際、原因を「〇〇さんの業務態度が~」などの属人的な要素と決めるとします。その後は、作業者の「申し訳ございません」で終わり、組織としては何も成長がありません。
強い組織には強い仕組みがあります。例えばレジスタッフが、お客さんから預かったお金を直接レジにしまい後から預かり金額が分からなくなるというミスをしたとします。この対策として、作業者にマニュアルを見せて注意したとしても再発の可能性は否定できません。
解決策としては、預かり金を置くトレーの置き場を決め、そこにレジ対応の手順を書いて見返せるようにするなど、組織としてミスを防げるような解決策を提示しましょう。
【悪い例】
事象:メールの宛先を誤った - 要因:作業者が注意を怠っていた
【ポイント】
人ではなくシステムに問題がないか分析する
3-4.現場を想定できていない
事象の定義から解決策の設定に至るまで、普段から現場におらず検証もできていない状態では、的はずれな分析になってしまいます。事象が発生した状況をできるだけ再現できる状態で分析に臨みましょう。
【悪い例】
事象:チームの離職率が高い - 要因:採用ターゲットがズレている
【ポイント】
入社後の社員同士のやり取りを見れていない
4.リスティング広告業務でなぜなぜ分析を実践
問題の解決に役立つなぜなぜ分析。今回は、リスティング広告のインハウス運用における「CPAが目標よりも高い!」という事象を分析してみたいと思います。
※ストーリーはフィクションです
このように、CPA高騰の根本原因は広告予算を拡大した際に運用者の工数が増え、入札管理が疎かになったことであると分かりました。次に取るべきアクションが明確になり、改善が期待されます。
また、今回はシンプルに1つの事象につき1つずつ要因を挙げましたが、実際の要因は多岐に渡る場合もあります。事象から分岐させ、多くの解決策をリストアップできると、その中でも優先的に行うべき解決策が浮かび上がるはずです。
5.まとめ
◎ブレインストーミングと違い、事象に対する要因を論理的に書き出す
◎根本原因を“人”ではなく“仕組み”であるとし、組織の改善に役立てる
みなさんもビジネス課題の解決になぜなぜ分析を活用してみてください!
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