
Google広告のP-MAXキャンペーンは、
Google AIによる自動最適化により運用工数を大幅に削減できる一方で、
「従来の検索広告やディスプレイ広告と比較して分析できるデータ項目が限られている」
という課題があります。
そのため、
「P-MAXで何を改善すればいいのか分からない」
「成果を向上させる具体的な施策が知りたい」
という悩みを抱える広告運用者も多いのではないでしょうか。
本記事では、
P-MAXキャンペーンで確認できる8つの分析項目と、それぞれの具体的な改善方法について
詳しく解説します。
限られた分析項目でも効果的な改善施策を実施することで、
キャンペーン成果の最大化が期待できます。
P-MAXを既に運用中の方はもちろん、
これから運用を検討している方もぜひ参考にしてください。
1. P-MAXキャンペーンとは?
P-MAXキャンペーンは、
「Performance Max(パフォーマンスを最大化)」の略称で、
Google広告の全配信面に1つのキャンペーンで配信できる革新的な広告メニューです。
例えば、
検索結果・ディスプレイ広告・YouTube・Discover・Gmail・Googleマップなど、
Googleが持つすべての広告枠に、自動で最適な形で広告が表示されます。
これにより、
多くのユーザーに幅広くアプローチできるのが特徴です。
1-1. P-MAXの基本的な仕組み
P-MAXキャンペーンは、
Google AIによる機械学習を活用し、
設定した目標に基づいて自動的に入札調整や配信最適化を行います。
画像・動画・見出し・説明文などの「材料(アセット)」を用意
AI:
ユーザーの行動や検索内容を分析して、
一番効果が出そうな「組み合わせ」で広告を自動で作り、いろんな場所に配信
上記の方法で、
広告主が用意した素材(アセット)をもとに、
AIが自動で最適な広告を組み立て、
さまざまな場所に効率よく配信してくれるのが、
P-MAXキャンペーンの大きな特徴です。
従来の手動調整が必要だった複数のキャンペーン管理を一元化でき、
運用工数の大幅な削減を実現できます。
1-2. P-MAXのメリット
P-MAXキャンペーンの主なメリットは、
運用効率の向上です。
複数の配信面を一つのキャンペーンで管理できるため、
設定や管理の手間が大幅に削減されます。
また、
Google AIによる自動最適化により、
人間では処理しきれない膨大なデータを活用した精密な配信が可能です。
さらに、
全配信面での露出により、
認知度向上とコンバージョン獲得の両方を同時に狙えるのも大きな特徴です。
1-3. P-MAXのデメリット
一方で、
P-MAXには「運用者が制御しにくい」という課題があります。
従来の検索広告やディスプレイ広告と比較して、
分析できるデータが限定的で、手動での細かい調整ができません。
また、
どの配信面でどのような成果が出ているかの詳細把握が困難で、
改善施策を立てにくいというデメリットがあります。
機械学習に依存するため、
初期段階では成果が不安定になることも考えられます。
2. P-MAXの運用ポイント
P-MAXキャンペーンを効果的に運用するためには、
機械学習の特性を理解することが重要です。
まず、
十分な学習データを蓄積するため、
最低でも6週間以上の運用期間を確保し、
頻繁な設定変更は機械学習の妨げとなるため控えるようにしましょう。
また、
質の高いアセットを豊富に用意することが成果向上の鍵となります。
例えば、
少なくとも以下のアセットを設定することが推奨されています。
テキストアセット | 20個(広告見出し15個、説明文5個) |
画像アセット | 7個(横向き画像3個、正方形の画像3個、縦向きの画像1個) |
動画アセット | 1個(ご自身のアセット、またはキャンペーンのセットアップ中に 動画制作ツールを使用して作成したアセット) |
※参考:Google すべての業種向けの P-MAX キャンペーンの最適化のヒント 2025年6月閲覧
検索テーマやオーディエンスシグナルの設定も重要で、
商品・サービスに関連する適切なキーワードや興味関心を設定することで、
機械学習の精度向上に寄与します。
3. P-MAXにおける分析項目の見方と改善方法8選
P-MAXキャンペーンでは、
分析できる項目が限られています。
しかし、
以下の8つの項目を適切に分析・改善することで、
キャンペーン成果の向上を図ることができます。
- 検索カテゴリ
- アセットパフォーマンス
- プレースメント
- 曜日・時間帯
- デバイス
- 地域
- オークション分析
- オーディエンスセグメント
分析項目①:検索カテゴリ
検索カテゴリは、
広告表示につながった検索語句をGoogle AIがカテゴリ別にグループ化した情報です。
ユーザーの検索意図や商品・サービスの属性に基づいて自動分類され、
どのような検索ニーズに対して広告が配信されているかを把握できます。
また、2025年4月から
検索広告と同様に検索語句ごとの詳細なパフォーマンスデータが
確認できるようになりました(※確認方法②)。
🔍確認方法①:カテゴリ単位で成果を見る
① キャンペーン選択→「分析情報とレポート」を選択
②「分析情報」を選択
③「詳細レポートを表示」をクリック
→以下の内容が確認できます:
・各検索カテゴリのコンバージョン数
・検索ボリュームなどの成果指標
🔍確認方法②:検索語句単位で詳細データを見る(2025年4月~)
① キャンペーン選択→「分析情報とレポート」を選択
②「検索語句」を選択
※現時点で本機能を使うには、Google広告の担当者に依頼する必要があります。
→以下の内容が確認できます:
・検索語句ごとの詳細なパフォーマンスデータ
📈改善方法
成果の良い検索カテゴリを検索テーマに追加することで機械学習を促進させましょう。
併用している検索広告がある場合は、
P-MAXで成果の良いカテゴリをキーワードとして追加することも効果的です。
逆に、
配信意図に反する検索カテゴリが確認できた場合は、除外キーワードを設定して無駄な配信を防ぎましょう。
分析項目②:アセットパフォーマンス
アセットパフォーマンスでは、
使用している画像、動画、見出し、説明文などの素材ごとの成果を確認できます。
🔍確認方法
①「キャンペーン」を選択
②「アセットグループ」を選択
③「詳細を表示」をクリック→各アセットの詳細を確認
📈改善方法
パフォーマンスの低いアセットは、
訴求内容や見せ方の変更を検討しましょう。
定期的なアセットの見直しと追加により、
機械学習の精度向上を図ることが重要です。
分析項目③:プレースメント
プレースメントレポートでは、
P-MAX広告がどのWebサイトで表示されているかを確認できます。
🔍確認方法
①「分析情報とレポート」を選択
②「レポートエディタ」を選択
③「P-MAXキャンペーンのプレースメント」を選択
プレースメントの定義は以下の通りです。
- Google により所有および運営:
Google が所有するサイト(Gmail、Play、Discover、YouTube など)を指します。 - Anonymous.google プレースメント:
サイト名が広告主に開示されないように、
パブリッシャーが設定するすべての広告プレースメントを指します。 - Google 検索の表示回数:
Google 検索はプレースメントとは見なされないため、
プレースメント レポートから除外されます。 - 視聴不可の動画:
広告が特定の YouTube 動画内、またはその動画の隣に配信されたものの、
配信後にその動画が非公開、削除、または不明になった場合に表示されます。
※参考:Google P-MAXキャンペーンのプレースメントレポートを確認または作成する
📈改善方法
プレースメントレポートは、
特にブランド保護の観点にも活用することをおすすめします。
自社ブランドのイメージを損なうおそれのあるWebサイトへの掲載が確認された場合は、
速やかにプレースメント除外の設定を行いましょう。
また、
パフォーマンス面でも成果が見込めない配信先があれば、
同様に除外設定を行うことで広告効果の最適化につながります。
分析項目④:曜日・時間帯
配信された曜日や時間帯のレポートを確認することで、
配信スケジュールの最適化が可能です。
🔍確認方法
①「分析情報とレポート」を選択
②「広告が表示された日時と場所」を選択
③「広告が表示された日時」をクリック
📈改善方法
基本的にはGoogle AIが成果に応じて入札調整を行うため、
手動調整は不要な場合がほとんどです。
ただし、
セール期間など急激な市場変動が予想される場合は、機械学習が追いつかないため、
コンバージョンの少ない曜日・時間帯の配信除外などの調整を検討しましょう。
分析項目⑤:デバイス
モバイル、パソコン、タブレット、テレビ画面ごとの成果を確認できます。
デバイスごとのパフォーマンスを把握することで広告の運用に活かせます。
🔍確認方法
①「分析情報とレポート」を選択
②「広告が表示された日時と場所」選択
③「デバイス」をクリック
📈改善方法
こちらもGoogle AIによる自動調整が基本となりますが、
テレビ画面は広告から最終ページへの遷移ができない仕様のため、
認知拡大よりもコンバージョン重視の場合は事前に除外設定するのも良いでしょう。
その他のデバイスについては、
著しく成果の悪いデバイスがある場合のみ配信除外を検討しましょう。
分析項目⑥:地域
配信された地域ごとのパフォーマンスも確認できます。
🔍確認方法
①「分析情報とレポート」を選択
②「広告が表示された日時と場所」選択
③「一致した地域」をクリック
ここでは広告が表示された地域をもとに掲載結果を表示します。
これには、
ユーザーの実際の所在地、またはユーザーが関心を示した地域などが含まれます。
📈改善方法
Googleの地域ターゲティング仕様上、設定外の地域にも配信される可能性があります。
配信したくない地域は事前に除外設定し、
定期的に「一致した地域」を確認して不要な地域への配信を防ぎましょう。
特に海外展開していない企業では、国外への配信除外は必須です。
分析項目⑦:オークション分析
検索における他社との競合状況を比較することで
リーチを拡大できる機会を探ることが出来ます。
🔍確認方法
①「分析情報とレポート」を選択
②「オークション分析」を選択
📈改善方法
クリック率やコンバージョン率の低下要因が競合の影響かを推定できます。
競合のインプレッションシェア上昇時期とパフォーマンス低下時期に相関があれば、
競合の影響を受けている可能性があります。
その場合は検索カテゴリの成果と照らし合わせ、
競合優位点を含む訴求をアセットに追加するなどの対策を講じましょう。
分析項目⑧:オーディエンスセグメント
オーディエンスセグメントでは、
どのようなユーザー属性や興味関心を持つユーザーに広告が配信されているか
などを確認できます。
🔍確認方法
①「分析情報とレポート」を選択
②「分析情報」を選択
指標の一つである「インデックス」とは、
特定のオーディエンスセグメントで発生したコンバージョンの割合が、
全体の中でどれだけ高いかを示す指標です。
値が大きいほど、そのセグメントが他と比べて
「より成果につながりやすい関心の高い層」
であると考えられます。
📈改善方法
オーディエンスセグメントのパフォーマンス確認自体で、
直接的なアクションは必要ありません。
しかし、
ユーザー属性の傾向を把握することで、
狙ったターゲット層に適切に配信できているかの確認や、
アセットの改善、検索テーマの見直しなどに活用することができます。
4. まとめ
P-MAXキャンペーンは自動化による運用効率化が大きなメリットですが、
適切な分析と改善施策の実施により、さらなる成果向上が期待できます。
紹介した8つの分析項目を定期的にチェックし、
データに基づいた改善を継続的に行うことが重要です。
機械学習の特性を理解し、長期的な視点で運用することで、
P-MAXキャンペーンの真価を発揮できるでしょう。
※本記事の画像引用:Google広告の管理画面 2025年6月閲覧