
Google検索広告のマッチタイプ
「インテントマッチ」の「シグナル」
と呼ばれる要素をしっかり理解し、活用出来ていますか?
本記事では、
インテントマッチのシグナルとは何か、完全一致やフレーズ一致とどう違うのか、
そして自動入札とどのように組み合わせれば効果的なのかを詳しく解説します。
1. インテントマッチとは?部分一致からの変更点
1-1. インテントマッチの定義と特徴
Google検索広告において、インテントマッチとは、
2024年7月から従来の「部分一致」に代わって導入された新しいキーワードマッチタイプです。
インテントマッチは、指定したキーワードに関連する語句を幅広く拾い上げ、
ユーザーの検索意図(インテント)に合わせて広告を表示する仕組みです。
インテントマッチを活用することで、
自社で想定していなかった有効なキーワードを発見できる可能性があります。
一方で、
ビジネスに関係のないクエリでも広告が表示されてしまうリスクがあるため、
適切な管理が必要です。
1-2. 部分一致からインテントマッチへ
2024年7月、
Googleは「部分一致」のマッチタイプを
「インテントマッチ」に完全移行しました。
この変更は単なる名称変更ではなく、
広告表示のアルゴリズムや考え方の変化を示しています。
変更前後の主な違い
項目 | 部分一致(変更前) | インテントマッチ(変更後) |
名称 | 部分一致 (Broad Match) | インテントマッチ (Intent Match) |
広告表示の範囲 | 広範囲 | より広範囲で意図重視 |
AIの活用度 | 限定的 | 大幅に強化 |
シグナルの種類 | 基本的なシグナル | より多様なシグナルを活用 |
推奨される組み合わせ | 自動入札 | 自動入札(より強く推奨) |
この変更により、
Googleはユーザーの検索意図により焦点を当て、
従来の「キーワードの一致」よりも「ユーザーのニーズに対する一致」を重視する
方向へ舵を切りました。
インテントマッチへの移行は、
Googleの検索広告がより高度な機械学習とAIを活用する流れの一環といえます。
広告運用者にとってこの変更は、
「キーワード中心」から「ユーザー意図中心」へのパラダイムシフトを意味しています。
従来のようにキーワードの一致だけを考えるのではなく、
ユーザーが何を求めているのかを理解し、
それに合わせた広告戦略を立てることがより重要になってきます。
2. インテントマッチのシグナルとその重要性
2-1. インテントマッチのシグナルとは
インテントマッチにおける「シグナル」とは、
Google広告が広告配信を決定する際に考慮する様々な要素や情報のことを指します。
これらのシグナルは、
単なるキーワードの一致度だけでなく、
ユーザーの検索意図により適した広告を表示するために活用されます。
インテントマッチが活用する主なシグナルには以下のようなものがあります。
- キーワードの関連性:
設定したキーワードと検索クエリの言語的・意味的な関連性 - ランディングページの内容:
広告のリンク先となるページの内容が検索クエリに関連しているか - ユーザーの過去の検索:
同一ユーザーの過去の検索履歴から推測される意図 - ユーザーの位置情報:
地理的な位置に基づく関連性 - 広告グループ内の他のキーワード:
同じ広告グループに設定されている他のキーワードとの関連性 - 予測されるパフォーマンス:
過去のデータに基づく広告パフォーマンスの予測
これらのシグナルをAIが総合的に分析することで、
ユーザーの真の検索意図に沿った広告配信を実現します。
2-2. 完全一致・フレーズ一致のシグナルと比較
インテントマッチと他のマッチタイプ(完全一致・フレーズ一致)では、
活用されるシグナルに違いがあります。
以下の表で比較してみましょう。
パフォーマンス向上のために考慮される シグナル |
インテントマッチ | 完全一致・フレーズ一致 |
キーワードの関連性 | ✓ | ✓ |
ランディングページの内容 | ✓ | ✕ |
ユーザーの過去の検索 | ✓ | ✕ |
ユーザーの位置情報 | ✓ | ✕ |
広告グループ内の他のキーワード | ✓ | ✕ |
予測されるパフォーマンス | ✓ | ✓ |
この比較からわかるように、
インテントマッチは完全一致やフレーズ一致と比較して、
より多くのシグナルを活用しています。
完全一致とフレーズ一致は、
主にキーワードの一致度と予測パフォーマンスのみを重視しますが、
インテントマッチはユーザーの文脈や意図を理解するための多様なシグナルを活用します。
マッチタイプ別の特徴
- 完全一致:
設定したキーワードとほぼ同一(または非常に近い)検索クエリに対してのみ広告を表示、
小程度の拡張のみ - フレーズ一致:
設定したキーワードのフレーズを含む検索クエリに広告を表示
中程度の拡張 - インテントマッチ:
より幅広い関連クエリに対して広告を表示し、多様なシグナルを活用、
広範囲の拡張
それぞれのマッチタイプには強みと弱みがあります。
完全一致は精度が高く無駄がない反面、リーチが限定的です。
一方、
インテントマッチは幅広いリーチが可能ですが、
関連性の低いクエリにも広告が表示されるリスクがあります。
広告の目的や予算に応じて適切なマッチタイプを選択することが重要です。
3. インテントマッチシグナルと自動入札の組み合わせ戦略
3-1. 目標コンバージョン単価(tCPA)
インテントマッチと目標コンバージョン単価(tCPA)の自動入札を組み合わせることで、
効率的な広告運用が可能になります。
tCPAを使用する際の注意点としては、
十分なコンバージョンデータがない状態では効果を発揮しにくい点があります。
少なくとも、
30日間で15〜20のコンバージョンデータを蓄積してから本格的な運用を開始
するのが理想的です。
また、
初期段階では若干高めのtCPA値を設定し、
データが集まるにつれて徐々に調整していくアプローチが効果的です。
インテントマッチと目標コンバージョン単価の組み合わせは、
特に「コスト効率を重視した広告運用」を目指す場合に適しています。
限られた予算で最大限のコンバージョンを獲得したい場合に有効な選択肢となります。
3-2. コンバージョン数最大化
コンバージョン数の最大化(Maximize Conversions)を目指す場合の
インテントマッチシグナルの活用法について解説します。
この入札戦略は、
予算内でできるだけ多くのコンバージョンを獲得することを目的としています。
コンバージョン数最大化戦略においては、
ある程度のCPA上昇を許容する必要があり、
「コンバージョン数を増やしたい」「シェアを拡大したい」
といった成長志向の目標に向いています。
インテントマッチと自動入札の組み合わせでは、
定期的に検索語句レポートを確認し、不要なクエリを除外キーワードとして追加する作業が重要です。
これにより、
広告の関連性を高め、予算の無駄遣いを防ぐことができます。
特にインテントマッチはクエリの幅が広いため、
この作業の重要性はより高くなります。
4. まとめ
いかがでしたでしょうか?
インテントマッチの最大の特徴は、多様な「シグナル」を活用して
ユーザーの真の検索意図に合わせた広告配信を行う点にあります。
インテントマッチへの移行に適応し、シグナルを効果的に活用することで、
より効率的で効果的な広告運用を実現させていきましょう。