
Googleアナリティクス4(GA4)では、
従来のユニバーサルアナリティクス(UA)から大きく変わった点の一つに
「エンゲージメント」という新しい指標があります。
本記事では、
GA4のエンゲージメントの定義から、関連する重要指標、そして従来の直帰率との違いについて
詳しく解説します。
1. GA4のエンゲージメントとは?
GA4のエンゲージメントは、
Googleのヘルプによると「サイトやアプリに対するユーザーの操作」
と定義されています。
簡単に言えば、
ユーザーが何かしらの意味のあるインタラクションを行ったセッションのことです。
従来のユニバーサルアナリティクス(UA)では
「セッション」を軸に分析していましたが、
GA4では「ユーザー」を軸にした考え方へと移行しています。
これにより、
よりユーザー中心の分析が可能になりました。
エンゲージメントの具体例としては、以下のようなものがあります。
- コンテンツサイトの場合:記事をゆっくりスクロールして読む
- ECサイトの場合:商品詳細ページの閲覧や、特定のページに一定時間留まる
- バンキングアプリの場合:残高確認などの操作
- 教育サイトの場合:情報動画の視聴
このように、
ユーザーがサイトやアプリと積極的に関わった行動がエンゲージメントとしてカウント
されます。
2. GA4エンゲージメントを構成する4つの重要指標
GA4のエンゲージメントを理解するためには、
関連する4つの重要指標を把握することが大切です。
ここでは、
それぞれの指標の定義と計算方法について解説します。
2-1. エンゲージのあったセッションの定義と判定条件
「エンゲージのあったセッション」とは、次のいずれかの条件に該当するセッションです。
- ユーザーがサイトやアプリに10秒以上滞在した場合
- 購入や資料請求などのコンバージョンイベントが発生した場合
- ユーザーが複数のページを閲覧した場合
- スクロールや動画再生などの特定のエンゲージメントイベントが発生した場合
これまでのUAでは、セッションの質を判断することが難しかったのですが、
GA4では「エンゲージのあったセッション」という概念によって、
「ページの内容をじっくり読んだ」
「購入や申し込みを行った」
「複数ページを閲覧した」
といった有意義なセッションを明確に識別できるようになりました。
2-2. エンゲージメント率
エンゲージメント率は、
すべてのセッションのうち「エンゲージのあったセッション」の割合を示す指標です。
計算式は以下の通りです。
例えば、
1,000ッションのうち800セッションでエンゲージメントがあった場合、
エンゲージメント率は80%となります。
この指標を見ることで、
すべてのセッションのうち、意味のあるセッションはどれくらいだったか
を把握することができます。
2-3. エンゲージのあったセッション数(ユーザーあたり)
エンゲージのあったセッション数(ユーザーあたり)は、
1人のユーザーが平均してどれくらいエンゲージメントのあるセッションを持ったかを測る指標
です。
計算式は以下の通りです。
この指標を通じて、
個々のユーザーがどれだけサイトやアプリに継続的に関わっているか
を理解することができます。
2-4. 平均エンゲージメント時間
平均エンゲージメント時間は、
ユーザーがサイトやアプリを実際に利用していた時間を表す指標です。
ここでいう「実際に」というのがポイントで、以下の条件を満たす時間のみをカウントします。
- パソコンのブラウザの場合:タブが前面に表示されている時間
- モバイルアプリの場合:アプリが前面で起動している時間
つまり、
ブラウザでタブが裏に隠れている時間や、
アプリがバックグラウンドで動作している時間はカウントされません。
この計算式は以下の通りです。
UAの「平均ページ滞在時間」と比較すると、
平均エンゲージメント時間は一般的に数値が低くなる傾向がありますが、
これはユーザーの実際の行動をより正確に反映しているためです。
3. エンゲージメント率と直帰率って何が違うの?
GA4のエンゲージメント率と従来のUAでよく使われていた直帰率は、
似ているようで異なる指標です。
ここでは、その違いを明確にします。
直帰率とは
直帰率は「1ページのみを閲覧して離脱したセッションの割合」を示す指標です。
つまり、
ユーザーがランディングページだけを見て、
他のページに移動せずにサイトを離れた割合を表します。
従来の直帰率は「ユーザーが他のページに進まなかった」という事実だけを捉え、
そのページでの行動(記事を読んだ、動画を見た、など)については考慮していませんでした。
エンゲージメント率と直帰率の違い
エンゲージメント率と直帰率の大きな違いは、
「ユーザーの行動の質」を評価するかどうかにあります。
項目 | 直帰率 | エンゲージメント率 |
測定する対象が逆 | 「意味のないセッション」 の割合を測定 |
「意味のあるセッション」 の割合を測定 |
単一ページでの 行動の評価 |
単一ページでの滞在は常に 「直帰」としてカウント |
単一ページでも10秒以上滞在や スクロールなどの行動があれば 「エンゲージメント」 としてカウント |
指標の方向性 | 低いほど良い 下がるほどパフォーマンスが向上 |
高いほど良い 上がるほどパフォーマンスが向上 |
例えば、
ブログ記事のページに訪れたユーザーが、
他のページには移動せずに1つの記事をじっくり読んで離脱した場合
- 直帰率の観点では「直帰」としてネガティブな評価
- エンゲージメント率の観点では「エンゲージメントあり」としてポジティブな評価
このように、GA4のエンゲージメント率は、
UAの直帰率よりもユーザーの実際の行動や関心をより正確に反映できる指標といえます。
4. まとめ
いかがでしたでしょうか?
GA4のエンゲージメント関連指標は、
従来のセッション軸からユーザー軸へと考え方が移行したことで生まれた新しい概念です。
特に重要なのは、
従来の直帰率だけでは捉えられなかった
「ユーザーの質的な行動」を評価できるようになった点です。
単にページ遷移の有無だけでなく、
実際にコンテンツに関わったかどうかを指標として可視化できるため、
より実態に即した分析が可能になりました。
GA4への移行は多くの変化をもたらしますが、
エンゲージメント指標を理解し活用することで、
より効果的なデータ分析とサイト改善に繋げましょう!